映画&舞台&本

『それでもボクはやってない』

『さくらん』を見た後、二本続けて見て来たのがこれ。順序を逆にしなくて大正解だった。つまらない、という意味ではなくて、どこかいたたまれないところがある映画だった。ものすごく疲れた。はっきりと使命感を持って映画を作った、と監督が語っているけれ…

『さくらん』

映画『さくらん』鑑賞。独特な感じで、面白かった。 写真家の蜷川実花さんが監督ということであれば、『MORE』に連載されている、『妄想劇場』の極彩色の世界が、映像でも繰り広げられているに違いない、そう思ってわくわくして出かけた。本当を言えば、…

『ドリームガールズ』

個人的な事情でいえば、R&Bは大好きである。二十代の後半から三十代まで、一番聴いた音楽だ。そんなわけで、モータウンの往年の名曲ばかり集めたCDも持っているし、「モータウン25th」をLDで持っている。マイケル・ジャクソンが「ビリー・ジーン…

『天国は待ってくれる』

土曜日、仕事を定時に終えて、二本続けて『天国は待ってくれる』と『ドリームガールズ』を鑑賞。「疲れるかな?」と思ったけれど、『天国~』を先にしたのでまったく問題なく楽しめた。まるで『天国~』をオードブル扱いにしているようで申し訳ない。どちら…

『どろろ』

「見てから読むか、読んでから見るか」迷った末、今回は読んでから見ることにした。手塚治虫の名作「どろろ」。ずいぶん前からその存在は知ってはいたものの、何となくグロテスクな感じがきついような気がして敬遠していた作品だ。まあ、グロテスクは苦手だ…

『CATS』

CATS公式ホームページ 10日土曜日、娘と二人で、劇団四季ミュージカル「CATS」を見てきた。JR五反田の駅を出ると、ビルの外壁に猫人間たちの顔が集まった大きなポスターが。そこから十分ほど歩くと、いきなり「CATS」の大きな文字が現れる。…

『ニック・オブ・タイム』DVD

これは、『ケ・セラ・セラ』の大ヒットで知られる、ヒッチコックの『知りすぎた男』のリメークだそうだ。ヒッチコック得意の、主人公の「巻き込まれ」物語である。それを『アサシン』のジョン・バダム監督がメガホンを取っている。絶対に観客を飽きさせない…

『ブロークバック・マウンテン』DVD

ホモセクシャルについては、特に何の感想もない。ヘテロセクシャルの男女のベッドシーンも十分に気持ち悪く感じるので、ホモだから特別に気持ち悪い、ということもない。映画やドラマの役者同士の場合だと、素では恋愛感情を持ち合っているわけではないのだ…

『マリー・アントワネット』

まずはざっくりした感想から。最高に楽しかった! 特に目に楽しかった。 コミック『ベルサイユのばら』、通称『ベルばら』が空前の大ヒットをしたのは、私が高校生の時だった。その時代の女子高生の心情に、男装の麗人オスカルがストレートにはまって、相当に…

『ゲド戦記』しめくくり

映画の上映もとっくに終わって、ちまたでの評価も一段落した頃なので、書きたいことがある。 まったく、ネットだけではなく新聞その他のメディアにまでいろいろ書かれて、暴風雨のような酷評であった。新人監督の作品としては異常な事態だったと思う。つまり…

『スキャナー・ダークリー』つづき

『スキャナー・ダークリー』を見ていて、ちょっと書き足したくなったこと。 フィリップ・K・ディックはSF作家として、人とまったく違う認識世界に住んでいる主人公を数多く創造してきた。それが惑星やタイムマシンや人工夢などの、絶対にあり得ないSF仕…

『スキャナー・ダークリー』

今日、渋谷のシネセゾンで見てきた。 ディックのSFは、好みが人によって分かれるそうだが、ディック晩年の『聖なる侵入』『ヴァリス』から入ってカルチャーショックを受けた私には、どれもこれも、手にしっくりなじんだ器のように親しみをおぼえる世界観だっ…

『プラダを着た悪魔』

ずいぶん前に見たんだけど、いい映画だったから感想はきちんと書いておこうと思う。 さて、最初はどんなに無理だと思えたことでも、やっていく内にできるようになることがある。仕事では、社会に出たばかりの新人の頃、先輩たちの仕事っぷりを見ていて、「自…

『デスノート The Last Name』

娘と二人、日曜日に見てきた。 前宣伝でうたわれていた原作との一番大きな違いは、ラスト近く、Lが用いたトリックのことだった。こんな遣い方、原作者だって思いつきもしなかったはず。息が詰まるような、ライトとLの頭脳戦は決着した。二人の勝負は、原作と…

木更津キャッツアイWS>四回目、行って来ました(,少々ネタばれあり 注意)

一日おきに映画館通いをしている。『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』の四回目を見てきた。布教用に多めに買っておいた前売りも、この分だと自己消費してしまいそうな勢いだ。でも、映画館を出た瞬間、またすぐに見たくなるのだから仕方がない。ファン…

『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』初日、見てきました

見てきました。『木更津キャッツアイ ワールドシリーズ』。 予想を上回る、『直球勝負』だった。 なんだ、変化球しか投げられないから、変化球投手……じゃなかったんだ。 ものすごい良かったわぁ。 私は『日本シリーズ』の、あの玩具箱をひっくり返したような…

『時をかける少女』

川崎のラゾーナの中にある、できたばかりの109シネマで、見てきました『時をかける少女』。 今年度のナンバーワン・アニメ映画の呼び声も高い。 「おじさん・おばさん世代には、甘酸っぱい気持ちになれること請け合い」という口コミだった。 甘酸っぱかった…

『イルマーレ』

個人的には恋愛物は守備範囲外なのだが、主演がキアヌ・リーブスだし、予告編がなんだかとても面白そうだったので、見てきた。物語世界は何の変哲もない日常だけど、たったひとつだけ、非日常があって……そういう仕掛けのファンタジーには良質のものも多い。…

『フラガール』

前評判通りの映画だった。 目当ては、蒼井優さんだったのだけど、松雪泰子さんの気風のいいダンスの先生が思った以上によかった。スポ根の鬼コーチみたいで。過去をあまり語らないのに、何となく想像できる過去が伝わってくる、というのがいい。 そして、気…

『日本以外全部沈没』

見てきた。ずいぶん人が入っていた。 何となく、「うわ、それって今時期まずくない?」なんて、他人事ながらはらはらするような 黒いものが見たい心境だったのだな。 絶対、今の国際状況をとことんブラックな風刺で斬るんだろう、と思ったので。 原作は賞を取…

『X-MEN ファイナル ディシジョン』

見てきた。テレビでアニメの放映をしていた頃に、少しはまって、パソコン通信のボードに熱っぽく書いたことがある。SFのアイテムとしてミュータントというものを考えたとき、作者が人間性とか能力をどう捕らえているか、それが現れていくわけだが、その点で…

『親指さがし』

少し遅くなったけれど、『親指さがし』を見てきた。 『ゲド戦記』の『影との戦い』以降、これに影響された作品があまた作られたそうだが、『エンゼルハート』などもそのひとつだったろうか。『親指さがし』のラストを見ていて、少し『エンゼルハート』を思い…

『ブレイブ・ストーリー』

例年、夏休みにはアニメが映画館にかかるわけだが、今年はいつになく大作揃いなのだそうだ。中でも『ゲド戦記』と双璧をなすという『ブレイブ・ストーリー』を見てきた。こういう流れで見ると、意識していなくても二つを比較して見てしまう。 絵やテンポが、…

『ハチミツとクローバー』

見てきた。 甘酸っぱかった。 お目当ては、はぐみ役の蒼井優さんと、竹本役の桜井くんなのだが、 これがまた、はまり役というか何と言うか。 美大というところは、もともとアートの能力がある人間が行くところだから、 人間の割合としては少数派のたまり場だ…

『ゲド戦記』三回目見てきました

五日間の夏休みをもらったので、『ゲド戦記』の三回目を見てきた。原作を平行して読み進めているので、発見がいろいろあって、また面白い。 ゲドの顔の左頬にある白い大きな傷跡。これは、『ゲド戦記』第一巻の『影との戦い』で、まだ少年だったゲドが、自分…

『ゲド戦記』感想つづき

原作を読んでわかったこと。 『ゲド戦記』の世界では、魔法使いは、物の真実の名を知ることによってそれを自在に操る力を得る。人間にもそれぞれ真実の名前があって、それを知ることで、その人間を支配することができる。『ゲド』というのが、通称『ハイタカ…

『ゲド戦記』二度目見てきました

『ゲド戦記』二回目見てきた。二度目が一度目よりいい。監督は、今、アメリカで原作者のル・グインにフィルムを見せているところだ、もし、いい反応がなかったとしても、必ずいい実りを結ぶから、と、祈るような気持ちでいる。 ところで、原作ファンから評判…

『ゲド戦記』テルーは夕日を見て泣く

夕日を見て泣いているテルーを見ていたら、我がアイドルの19歳の誕生日の日にホームページに書いた詩を思い出したので、引っ張り出してきた。いろいろ誤解を与える詩ではあるので、封印するつもりだったけど、もう、何を言われてもいい。結局、受け取る人の…

『ゲド戦記』見てきました

『ゲド戦記』見てきた。 すばらしかった。感動した。酷評されてたから心配しちゃったよ。だけど、私にとっていい映画で本当に良かった。批判されていることが全部「間違い」ってわけではないけれど、監督自身が確信犯的にやっていることのリアクションだから…

悲しい

欝だ。更年期障害ではない。ゲド戦記がまだ見られないのだ。 初日。18歳未満は入れないレイトショーなら、まず間違いなく一時間待ちでチケットが取れるはず……そう思って直行したのに。 「完売です」。窓口のはきはきした可愛いおねえさんが、「か」に力を込…