悲しい

欝だ。更年期障害ではない。ゲド戦記がまだ見られないのだ。
初日。18歳未満は入れないレイトショーなら、まず間違いなく一時間待ちでチケットが取れるはず……そう思って直行したのに。
「完売です」。窓口のはきはきした可愛いおねえさんが、「か」に力を込めて言うのが恨めしかった。
こんなの初めてだ。ひどい。ひどいよ。だけど、ふたつの箱にお客さんいっぱい。大ヒットだ。喜ぼう。
翌日日曜日。整体の予約など、キャンセルすれば良かった。行かないと、仕事疲れの体がもうそろそろ限界だけど。
娘をクレヨンハウスに連れて行く約束などスルーすれば良かった。この子は友達に誘われると、母親との約束など速攻でキャンセルするんだから。でも行った。高い絵本をついつい買ってあげた。甘い。甘すぎる。だけど、ル・グインのエッセイ集を買えた。大収穫だ。
そして今日。何が起ころうと絶対に八時に仕事をアップしてレイトショーを見る意気込みでいたのに。「帰ります?じゃあ、一緒に行きましょう」と誘われるのを、「すみません、急いでいるので」と断って、まさに帰ろうと行きかけたのに……絶対にこの時点で呼び止められたくない人に呼び止められた。仕方なく、諦めてその人の満足する答えをするために、何度も何度も今までチェックしたはずのデータを再確認して、答える。いるんだよね、こういう人(ため息)。もうだめ。間に合わない。すると、その人「悪いけど、帰ってくれないかな」だって。これからヘビーな会議をするから、いられると邪魔なんだと。今年何度目かの軽い殺意。アレンが父親を刺すくらい、別に変じゃないぞ、っと。

さて、運命論者なら、「これはゲド戦記を見るなっていう、神様のおぼしめしだわ」と言って、行く意欲をなくすかも知れない。私は、時々、運命論者だったり、なかったりする。
この分だと、今週中は無理かも。
今夜はせめて、ル・グインの素敵な言葉に包まれて眠りに落ちよう。