『ブレイブ・ストーリー』

例年、夏休みにはアニメが映画館にかかるわけだが、今年はいつになく大作揃いなのだそうだ。中でも『ゲド戦記』と双璧をなすという『ブレイブ・ストーリー』を見てきた。こういう流れで見ると、意識していなくても二つを比較して見てしまう。
絵やテンポが、『ブレイブ~』の方が「今日的」であるとか、同じくファンタジーのアイテム、魔法や竜が出てきたりするのが、こちらはもっと「ばん」とわかりやすく出してきてるとか、ル・グウィン以降のファンタジーにおなじみの「もうひとりの自分」との戦いがこっちはよりビジュアルになっている、とか。個人的には、『ゲド戦記』のように、わかりそうでわからない、わからなそうで何となくわかる、みたいなのが好みだったりする。
それでも、やっぱりアニメは楽しい。アニメって、思い出の中の風景とか、物語を読んでいるときに目の前に広がっていく風景とかみたいな、「見たんだけど、見ていない」そんなものを時々見せてくれて、初めて見たのにとても懐かしい気持ちにさせてくれる時がある。
子供の頃の話だが、童話を読んでいて、どうしてもイメージがうまくできなくて、それを補うために絵を描いたりする。書いてみて「ああなるほど、ここはこうなんだ」とわかるわけだ。「描くとわかる」のはなぜなのか、その時はまったく何もわかっちゃいなかった。表現というのは、人に伝えることと、作り手のイメージを育てることの、両方の作用がある。
主人公のワタルは、父親が家を出て行って、母親が倒れてしまって、その運命を変えるために、異世界へ旅立つ。だけど、彼が運命の女神に願うのは、……。
この展開を「ありきたり」と見るか、どうかは見る人次第だと思う。子供を持つ身としては、「がんばったね」とワタルに言ってあげたい気がする。

さて、次は『時をかける少女』が。神奈川の映画館にかかりますように。