#詩

詩~『ありがとうのうた』

「ありがとう」の中でも 一番大きな「ありがとう」 それは大切に思ってもらえた 感謝の言葉 私には、私が一番たいせつ あなたには、あなたが一番たいせつ あいつには、あいつが一番たいせつ あの子には、あの子が一番たいせつ それが当たり前で それが基本で…

詩~『グレートジャーニー』

人類が こんなにもこの星の 隅々まで散らばっているのは バベルの建設に 失敗したからじゃない ここじゃないどこか 今じゃないいつか 自分じゃない何か そんなものを 目指すように 仕組まれていたからなんだ ちっぽけ草花ですら 地下茎を張りめぐらし 精いっ…

詩~『ダチョウ』

散歩してたら サバンナに出た。 生意気なダチョウと 立ち話をした。 「鳥のくせに 飛べないなんて」 「お前だって、人間のくせに 泣けないじゃないか」 「…人のいないところで 泣くのさ」 「俺だって、人のいないところで 飛ぶのさ」 僕たちは若過ぎて ダチ…

詩~『秘密』

自分一人だけの秘密 心臓の上の小石。 好きな人とだけ共有する秘密 甘い香りの毒薬。 すべての人に共有される秘密 がんじがらめの蜘蛛の巣。 あなたは 地上に現れた 最も美しいオス ただ いのちを謳歌したい その一心で せいいっぱい広げた 見えないハネのせ…

詩~『ソロ』

すべては移り変わって 一時も留まっているものはないから 僕達はいま 自分の時の独り舞台に立っている 僕達はやってきて そして。 僕達が 昨日と今日の自分が どれだけ変わっているか わからないようにできているのは 生き物を作った誰かの 優しさだろう 生…

詩~『春』

ねこは縁側で 百万年前と同じように ひなたぼっこをしている ねこやなぎは庭で 百万年目の 夢を見ている いつまでも続く春の うららかなひざしに まどろみと うつつとの境界線を 行ったり来たり うつら…うつら… この世には 私と 春と ねこと ねこやなぎしか …

詩~『楽園へ行こう』

南の島へ行こう 海を越え楽園に行こう いろとりどりの花が 咲き乱れ 垂直にさす日光を 体中でうけとめて 酸素を吐き出す 天国と地続きの場所 南の島へ行こう いつも 何かしないではいられない そんなあなたなら いっそ何もしないで 太陽と雲のシンフォニーを…

詩~『恋』

恋------何ほどの価値があろう 感情の鉄格子に囚われて むなしくあがく身であれば 手を差しのべる 景色のように きらきらとせつなく光る ああ、あれに手が届けば いっそ死んでも構わないと 恋------何ほどの価値があろう 聞けば死すら乗り越える 情熱ともな…

詩~『タンポポの酒』

私はつくる 日だまりのタンポポを 太陽の光から とりわけ金色の束を漉しとり さくさくと 小さなこよりにして 私はつくる タンポポから火の酒を 金色の花弁から 金色の液体を絞り出す 念入りに仕込んだら 月日が熟成してくれるのを 膝の上に黄ばんだ本をのせ…

詩~『ゆめみていたことは』

ゆめみていたことは ちからをかんじたにんげんが いちどはのぞんだことで だれもかなえたものがいない どんなにうつくしくても どんなにかしこくても どんなとくべつなちからをもっていようと そういうことだと しったから このごにおよんで いいたいことは …

詩~『タイムマシン』

私は時の旅人 タイムマシンに乗って あなたの生まれる 23年前の古代から やってきた あなたに会うために あなたのいなかった時を 私の言葉で伝えるために 何が変わり 何が変わらないのか 何が大切で 何が大切でないのか タイムマシンの着いた日から 地球が太…

詩~『ハロー18歳』

ハロー、18歳。 今日はあなたの誕生日 おめでとう! おめでとう! そして 生まれてきてくれて ありがとう。 それは 私には 痛みを忘れるほど あたたかい いのち。 なのに あなたには ときには 泣きたいほど 痛い いのちだね。 生きていることは 自分らしくあ…

詩の積み木

ね もし ゆめの くにまで とべるなら ネバーランド ピーターパンと ティンカーベルと そしてウエンディと いっしょならとべるね からだがおとなになって こどもとよばれなくっても こころのじかんはおわらない こころのじかんはおわらせない ね もし ひとの …

詩~『あなたはどこまで すてきになるのか』

ひとつぶの種から 大きな木が育つのは DNAという名のプログラムのせい そう聞かされて なお深まる いのちのひみつ いのちはひかりをもとめて ひたすら天をめざす。 こごえる季節ごとに 固く年輪をきざみながら。 その背とおなじほどに 根をはりめぐらしなが…

詩~『森の中の少年へ』

もうすぐ日が暮れようというのに、 まだうつむいたままなのですか 森の静けさに抱かれて 心はここにないのですか あなたの横顔は 来た道の謎に心を奪われているようでもあり 行く道の険しさを憂いているようでもあり。 あなたの唇は 何かもの言いたげでもあ…

詩~『星に帰る人へ』

あなたの魂が生まれた星は 夜空に光って 見つけられる星ですか。 それとも どこか気の遠くなるほど はるかな星でしょうか。 ふるさとの人々は あなたと同じ目をしていますか。 世界を変える力は その 深く澄んだ瞳に宿るものなのですか。 そこには 喜びがあ…

詩~『アラベスク』

しだいに明るむ 窓の明かりに 壁のアラベスクが 浮かび上がる 永遠を意味する 植物のせめぎあい 絹の道をたどるうちに 永遠は その意味するところを 少しずつ変え 生き物の匂いを 閉め出していく 細胞をもつ者が 入ることのできない エリアがある イマジネー…

詩~『あまのじゃく』

大好きな人に 忘れられないために 嫌われようと 思ったことはないですか? 言っちゃいけないことばかり 探して 選んで 大好きな人が 泣き出しそうになるまで 強い声で 「あんたなんか大嫌い!」 そういって 駆け出していく その後ろ姿 ああ あの子は自分を ず…

詩~『ありがとう』

ずっと会いたかったから 会えて嬉しかった あんまり嬉しいから 会わせてくれたもの すべてに ありがとうを 本物のありがとうを 言ってまわったの あなたを生み出したもの あなたを育てたもの あなたを世に出してくれたもの あなたを見つけられた巡り合わせの…

詩~『花占い』

大好きな人の目の中で 私はどこに立っているだろう まっすぐ見てくれなくても 視野のはじっこの私を 少しは気にかけてくれているだろうかと わからないことを わかったことにするため 頼るものはいつも同じ 花びらに託した切なる願い 「好き」「嫌い」「好き…

詩~『歌をつくる』

手紙でしか言えないことがあるように 物語でしか言えないことがあるように 詩でしか言えないことがあるように 歌でしか言えないことがあるのです あなたを見るたび 胸に異常気象が起こるので 歌をつくりたいと思うのです 歌は 天から降ってくるものなの? 胸…

詩~『背伸び』

背伸びが あたたかく見守られるのは まだ子供の証明 背伸びは子供の本能じゃないか 可愛いね愛しいねと 背伸びが その姿勢ごと 悪癖のように言われたら むごい青春のはじまりの合図 根っこは変わっていないのに とまどって 傷ついて それからどうするかは 人…

詩~『ヒュアキントス~ギリシャ神話より』

大好きな人の 自分と同じところを 見つけるのは 楽しいもの さよならをする時に 決して振り向かないこと まっすぐ歩いていくところ きっとあなたも 冷たい人だと 後ろ指をさされただろうと その胸の内など 知る人はなく その想いを ひとりだけのものにする …

詩~『母の日』

君が生まれて お母さんにしてもらえたから それが幸せだったから これ以上 感謝してもらうことなんて 何もないんだ 期待していることは 私の目の中で 君が素敵に育っていくことだから 似合わないことを する必要もないんだ マニュアルだけは置いていくよ と…

詩~『舞台俳優』

その場に合わせて すばやく七変化 観客の心臓を わしづかみにする やることすべてやった後 雄弁な背中で はけていく 残るのは 疲労の余韻と 反作用の活力

詩~『ゲーム~アイドルへ』

どんなに行き詰まって見えようとも 魔法の呪文をとなえると 今までなかった扉が現われ 終わったはずのゲームが 再び始まる いつのまにか やんわりとかわすことを覚えた あなたがたたずんでいると それは冷たい気品にあふれていて 焦りは募って ゲームはます…

詩~『ネクスト~アイドルへ』

意志なんて 頼りにならないの ねこじゃらしに まんまとじゃれつく 猫も同然 あなたが姿を見せれば 私は全身「眼」になっちゃう あなたが姿を隠せば 時間がじりじりと 胸のあたりをあぶるので いてもたってもいられない うたでも詠まずには 乗り切れない 本当…

詩~『装う』

好きな人のハートを盗むために いつもと違った自分に なろうとするのは 自信がない証拠 大輪の花のように 装うのは 地味なことを 気にしてるしるし 小さな可憐な花のように 装うのは 清純そうに見えないことを 気にしてるしるし そうやって おそるおそる 大…

詩~『あすなろ』

あすなろが 好きだと言った人がいました 明日はヒノキになろう、なんて 前向きだねって あすなろは人気者 ヒノキよりも人気者 どこまでも明日は明日で 今日じゃなく 明日はいつも手つかずで のりのきいたシーツのよう ぴかぴかの明日 なれるといいね 立派な…

詩~『アイドルへ』

本物は誰が決める 基準はどこにあるの 本物と偽物がどう違うか わからなくても フェイクは嫌だと 声を張り上げる権利は あるらしい だけど人につまづくのは 偽ブランドをつかむのとは わけが違う 人の言うことを どれを信じて どれを信じないか それだけの問…