詩~『グレートジャーニー』

人類が
こんなにもこの星の
隅々まで散らばっているのは
バベルの建設に
失敗したからじゃない

ここじゃないどこか
今じゃないいつか
自分じゃない何か
そんなものを
目指すように
仕組まれていたからなんだ

ちっぽけ草花ですら
地下茎を張りめぐらし
精いっぱい種を飛ばし
広がっていこうとするのに
立派なからだと
強い意志を持った者が
じっとしているわけはないんだ

すべての欲望を
卑しいものだと
言いなす人に
足を止められるのは
傷つくのが恐い
私だけだったんだ

変わりたい
来るべき旅立ちの時のために
翼の力を貯えたい
そう願うのは
人類の源の
たましいの呼び声だったんだ