詩~『ダチョウ』

散歩してたら サバンナに出た。
生意気なダチョウと 立ち話をした。

「鳥のくせに 飛べないなんて」
「お前だって、人間のくせに 泣けないじゃないか」
「…人のいないところで 泣くのさ」
「俺だって、人のいないところで 飛ぶのさ」

僕たちは若過ぎて
ダチョウは まだ飛んだことがなく
僕は まだ泣いたことがない。

でも
ダチョウが冷たい骸になったなら
乾いた瞳で見るだろう
僕が涙をこぼすのを

僕がサバンナの草に生まれ変わったなら
夕陽の中に見るだろう
まっすぐ飛んでいく一羽のダチョウを

僕たちは若過ぎて
そこにいない場所で起こることを
まだ見ることができない。