詩~『森の中の少年へ』

もうすぐ日が暮れようというのに、
まだうつむいたままなのですか
森の静けさに抱かれて
心はここにないのですか

あなたの横顔は
来た道の謎に心を奪われているようでもあり
行く道の険しさを憂いているようでもあり。

あなたの唇は
何かもの言いたげでもあり
沈黙の封印に閉ざされているようでもあり。

あなたの耳は
小さな命のざわめきに聞き入っているようでもあり
迷宮の静寂に塞がれているようでもあり

あなたの瞳は
見えないものを見つめているようでもあり
見えるものすら見ていないようでもあり。

そして私は
あなたが顔をあげるまで
待っていてあげたいようでもあり
待ちくたびれたようでもあり。

答えは見つかりそうですか?
幻影に惑わされずに
歩いていけそうですか?
何が正しくて、何がまやかしか
見分けることができそうですか?

「正しい」「間違ってる」
「きれい」「きたない」
「好き」「嫌い」
決着つかぬ
無限大のオセロゲーム
途中で放り出すのは性に合いませんか?

・・・もう、そろそろ歩き出しませんか?
森の冷気が
あなたをますます
気難しくしてしまわない内に。