#詩

詩~『少女』

はじける音をたてて 君は花開く 「すっかり女らしくなって」 そう目を細めるのは 君の母親という人だろうか 君が 自分のために用意されている と勘違いする者から 君の愛らしさを 守るために 私はここにいる 決して感謝などはされるまい それも知っているよ …

詩~『アドニス~ギリシャ神話より』

保護色のように くすんだ体 どうして流れる血は ここまで赤いのでしょう 生きる力を宿すため 朝夕の太陽に似せたのだと 言われてみれば そんな気も アドニス 流した血が 染み込んだ土から 花が咲くほどの うつくしい若者の名 いつの日だって 猛き者は 血を流…

詩~『みやこわすれ』

ふるさとが 遠くにある人は ふるさとの野に咲く花と 同じ花を見つけるたび思う その花を この街で見かけるのは 何年目だろうかと ふるさとのひとたちは 今頃どうしているだろうかと ボクハイマ元気デス そう短くつぶやいてみる 辛くてたまらないとき 誰にも…

詩~『雪割草』

毎年毎年忘れずに咲くのだね 人々にやがて来る暖かい日を 知らせるため そうだ希望は きっとこんな姿をしている。 冷たく降り積もる雪さえ あなたを育む愛だと 言わんばかりに そうだった 強い者は 必ずしも猛々しくない あなたが乗り越えた重さこそ 強さの…

詩~『美』

見つめる じっと見つめる 目の中で 対象は 変化する 変貌する 気品・高貴・優雅 褒めたたえる言葉が 流れ出せば あなたの勝ちだ みすぼらしく あったはずのものが 目の中で 限りなく その美の要素を 増殖させる 美化と呼ぶなかれ 対象は 私の目から どこへも…

詩~『運命』

いま のびのびと広がる幹は いつか 広がりはじめたばかりの 梢だった いま 繊細に空のレリーフを描く梢は いつか 芽吹いたばかりの 若葉だった いま 芽吹いている葉は いつか 梢に なるものと ならないものがある いま のび始めている梢は いつか 枝に なる…

詩~『ポプラ』

ギターを奏で 歌に気持ちをこめる まっすぐに伝われと ありったけの気持ち パッケージして でも君は 自分のことだと気付かない まるでポプラの木のように まっすぐで 融通が利かない 君のそんなところ 好きだったはずなのに なんで こんなにもどかしいのだろ…

詩~『踊り子』

あなたは踊り子 根をおろさなくったって どこへでもいける この身ひとつさえあれば どこででも生きていける そう胸を張るあなたの 隠れた淋しさを 人は探し出そうとするだろう わけのわからない不安に駆られて でも あなたは のびのびとした両腕両足で 見え…

詩~『青いバラ』

青いバラ 咲いた 花ことばは「不可能」 諦めを知らない 錬金術師 咲かせた それは 宝くじみたいなもの 「諦めない」 美しく響く 自分と関わりさえ なければ あなたを諦めない人 見ていると 悲しいでしょう 上手に諦める 技をきわめなくては 新しい 青いバラ…

詩~『コンサートスタッフ』

いたずらぼーず おてんばむすめ しかけをつくる ここをこうして ああなってこうなって こころの底から楽しんで こころの底から大まじめ だます快感は だまされる快感に 一粒で二度おいしい 変幻自在の舞台 すべての予想を 楽しく裏切る まずは見てのお楽しみ…

詩~『ざわめき』

意味のある 文字を紡ぎ すっからかんになるまで 吐き出し それから後は 意味のない 羅列の上を 石蹴りの要領で 飛んでいく 細工はリュウリュウ 仕上げをゴロウジロ 行きたい場所はあるけれど 飛んでいくのも快感で 飛べる自分もちと誇らしく 詰めの甘さが 玉…

詩~『ゆかり』

ゆかりの街を ゆかりの野を たどるように歩く 花の香 木の香 風の音 水の音 まだ名付けられていない それらすべてを 全身で 細やかに受け止めながら おもいでが いつどこで どんなわけで よみがえるのか どんな意味をもって 結び合わさるのか 未来は混沌とし…

詩~『完璧』

「完璧なものは大好き」 快活な少女は言った。 いつまで見ても飽きないから こころが洗われていくようだから こころを吸い取られないように 大人の分別を保つんだよ そんな言葉に惑わされない だって「今」だけが人生だから 見ている「今」だけがすべてだか…

詩~『いじめられっこの君へ』

地味な方が生きるのが楽なんだよ 地味だとこころが楽しまないけどね 何もしなくても目立つやつはいるね そう生まれついてるんだ 自分が目立つのは面倒なのに 目立つやつがなぜだか妬ましい そういうやつ いっぱいいる 君はどっちがいい? 誰も自分を選べない…

詩~『HOLD』

大切な子を抱きしめてると 大切な子はキモチいい 抱きしめてるワタシもキモチいい だから 抱きしめるのが その子の為だったのか 自分の為だったのか わからなくて 考えても どうせわからないので 考えないでいる いつしかその子は 広い世界を見てみたいと 飛…

詩~『ノスタルジー』

辛いことがあるたびに ときおり開く ふるい宝箱 汚れてくたびれたテディ・ベア ガラスのペンダント 色あせた写真 そして 今よりも若かった日の 想い出 それは「懐かしさ」 記憶のかけらの ひとつひとつに よりそう 泣きたいようなしあわせ その時は しあわせ…

詩~『少年』

「こんな人だとは思わなかった」 そんなコトバを聞きたくないばかりに ちょっと悪ぶる 繊細な少年が好きでした かぶった仮面が 一人歩きすれば 自分が撒いた種なのに よけいに傷つく そんな不器用さが好きでした 傷つく分だけ 傷つける人間にはなるまいと こ…

詩~『役者』

本物らしく見せるために 作ってみせたら 本物そっくり 本物はチープに感じるのに 本物らしく見せたものは なぜだかリッチ 人々が賢くなったせいなのか 人々の賢さが足りないせいなのか 舞台裏を見せても 全部手の内を見せても まだ裏がある それが切り取った…

詩~『無理』

立ち止まっているのは 怠惰のせいではないの どちらを向いても 気持ちが定まらないのだもの 生きているっていうのに オブジェのように そこに収まらなくては ならなかったのだもの おかげで 躍動するためのバネは おもいきり退化して それでも躍動の姿ばかり…

詩~『かわうそ』

ここは急流だよ? 生きてくだけで命懸け 健やかにいるだけで寿命が縮まる なのになんだって ペットを見るように見るのさ 僕が見かけによらないって? そういうことは ちゃんと見てから言いなよ 僕を誰だと思ってるの フツー 根に持つだけでも努力が必要 フツー…

詩~『ハイウェイ』

気ままに走らせる ハイウェイ 思いきりスピード上げて 目的地は? 気持ちの向かう方さ その時のキブンで 損したって怒り その時のキブンで 得したって喜ぶ それもたまには良いんじゃない? だってキブンは大事さ ボクたちみんなが 猫が見ている夢の 登場人物で…

詩~『英雄』

冷たい時代も そろそろ 「長い」という形容詞が あまりに似合うようになったから 淀んだ水底の ほの暗い街角を 這うように歩く 人々のこころにも そろそろ 英雄が必要だ 現実のカタチをもった 英雄の中の 英雄 新しい人間 誰もがその名を知るが その名がいつ…

詩~『ウロボロス』

その腕に 脚に 胸に 無数に刻み付けられた 匠のわざ 日本刀のように 長い時と たわめられる弾力 触れることのできない 威厳 時が裂ける その刹那 スパークする この世の すべて 輝かしきもの 未来へとつながる ウロボロス 今日も 万感をこめて 拍手を贈ろう

詩~『物語』

誰でも お話の1ページ目は わくわくしながら 読み出すもの 最初が良いと 名作の予感 流れるように進めば すっかりこころは物語の中 次々と現れる登場人物に 愛情感じたり 反感抱いたり あり得ないような 魅力的な人だって (抱きしめたい) あり得ないような …

詩~『まっすぐ』

としよりが若者に語っていわく 好きは好きで 嫌いは嫌い 正しいは正しいで 間違いは間違い きれいはきれいで きたないはきたない まっすぐだというのは そういうことだ まっすぐが 報われる未来を信じているの? 裏切られる未来を恐れていないの? とうに裏切…

詩~『アート』

感じることを学ぶのは 考えることを学ぶより たやすいだろうか 確かめることなど もともとできはしないけれど 感じたことを伝えるのは 考えたことを伝えるより 難しいだろうか たしかめる方法など もともとありはしないけれど 音もたてずに しのびよる未来 …

詩~『バースディ』

何のためだろう ひとが ひとの生まれた日を 祝うのは あなたが いまここにあることを 世界中に感謝するため あなたがいる幸福を 確かめるため そしてもうひとつ 重すぎて 口に出すことさえできない 大切な思いを 祝いにかこつけて さらけだしてしまいたいか…

詩~『エンタテイナー』

君は体がゆっくり動く きっと心もゆっくりなんだろう 君を楽しませるのは楽じゃない ねえ、君は何が好き? 楽しんでるヒト見るのは大好きだから 君にも楽しんで欲しいな 比べるつもりはないけれど、 他のコみたいに笑ってみせてよ 君の笑顔はどんなんだろう …

詩~『ひまわり~ギリシャ神話より』

どんなにたくさんの 人の中からでも あなたは一瞬でわかる どんなに動こうと すぐに見つけられる 私の目が ひとりでに探し当ててしまうから 「白皙の美青年」と いうのですって 言の葉は あなたに会う時を 気の遠くなるほど 待ったのだろうね あこがれを 描…

詩~『楽園』

楽園行きの地図は 北も南もよくわからない 地図を捨てて 地球の自転の軸方向 星の回転の中心を右手に まっすぐに進め 湿った空気 異質なものを受け付けない 激しやすい気性の人々 みんな振り捨てて 熱い空気が 何もかも乾かしていく 場所へと ひとあし早く旅…