詩~『恋』

恋------何ほどの価値があろう
感情の鉄格子に囚われて
むなしくあがく身であれば
手を差しのべる
景色のように
きらきらとせつなく光る
ああ、あれに手が届けば
いっそ死んでも構わないと

恋------何ほどの価値があろう
聞けば死すら乗り越える
情熱ともなるとか
雨上がりの空
黒々とした高い枝
生る赤い木の実の
さあ、つかんでごらんと挑むように

恋------何ほどの価値があろう
長い長い旅路の果てに
やっと捕まえた青い鳥
また別のものに変わるのかと
おびえつつそっと手の中を見る
答えがとっくにわかっていても
今日も 恋に恋いこがれる
何の価値もなくっても