詩~『完璧』

「完璧なものは大好き」
 快活な少女は言った。

いつまで見ても飽きないから
こころが洗われていくようだから

こころを吸い取られないように
大人の分別を保つんだよ
  そんな言葉に惑わされない

だって「今」だけが人生だから
見ている「今」だけがすべてだから

「完璧なものはキライ」
 泣き虫の少女は言った。

壊れると悲しいから
汚れるとがっかりするから

壊れたり汚れたりしないよう
大切にすればいいんだよ
  そんな言葉にだまされない

いつか消えてなくなるのを知ってるから
その未来を今が抗おうとするから

「完璧なものなんてない」
 疲れた少女は言った。

もう何も見ない。
何もそこにない。