詩~『運命』

いま のびのびと広がる幹は
いつか 広がりはじめたばかりの
梢だった

いま 繊細に空のレリーフを描く梢は
いつか 芽吹いたばかりの
若葉だった

いま 芽吹いている葉は
いつか 梢に
なるものと
ならないものがある

いま のび始めている梢は
いつか 枝に
なるものと
ならないものがある

運命とは
選ばれることではなく
ただの偶然だと
あなたは言うだろう

それこそ
選ばれるということだと
震えながら
私は言い返すだろう

いまは ただ
若葉のつくる木陰に
身を休め
飛来する想いに
深々と沈んでいよう