詩~『ゆかり』

ゆかりの街を
ゆかりの野を
たどるように歩く

花の香 木の香
風の音 水の音
まだ名付けられていない
それらすべてを
全身で
細やかに受け止めながら

おもいでが
いつどこで
どんなわけで
よみがえるのか
どんな意味をもって
結び合わさるのか
未来は混沌として
なにも見えない

見えない未来に
たち向かうため
鍛錬に没頭する
あなたの
冷たい横顔

まだ
誰にも名付けられていない
輝かしいものに
縁取られて

私の
たくわえてきた
そのちからで
いつか
古い名で切り取られた
世界の余白に
新しい名を刻もう