詩~『アドニス~ギリシャ神話より』

保護色のように
くすんだ体
どうして流れる血は
ここまで赤いのでしょう

生きる力を宿すため
朝夕の太陽に似せたのだと
言われてみれば
そんな気も

アドニス
流した血が
染み込んだ土から
花が咲くほどの
うつくしい若者の名

いつの日だって
猛き者は
血を流すことを恐れない
けれど
いつの日だって
流れ出る血は
悲しみ色をして

アドニス
この世で最も
うつくしい女神から愛され
その愛を悲しみに変えた
若者の名