コメントいただいて、つれづれに思うこと

コメントいただいて、ファンの方の愛情の深さに、感じ入りました。
藤原さんのファンの方たちは、求めるばかりでなく、見守る・与える方に気持ちの向かう方が多いように思います。
蜷川さんが、藤原さんのファンを評価して褒めるのも納得です。
藤原さんは、いいファンの方に恵まれていますね。
それも藤原さん自身のちからのひとつ、なのでしょう。

そこから刺激されて、ちょっと以前から思っていたことを書きたいと思います。
以下、いつもの「だ・である」式の書き方で失礼します。
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芸能人、プロスポーツ選手、文化人のファンになる、ということは、実際どういう効果をそれぞれの人にもたらすものだろう、と考えることがある。
オタクという呼び名に、単なる娯楽、現実逃避のひとつに過ぎない、というニュアンスを感じてしまう。
そういうことも、ひょっとしてあるのかも知れない。
だけど、その人にとって絶対に必要なもの、という場合もあるのではなかろうか。

さて、例によってまたまた個人的な思い出話を。
まだ娘が小学生だった頃、仕事でひどく遅くなって、駅から家までのバスもなくなり、歩くにも夜道が危ないくらいになって、タクシーに乗ったときのこと。
多摩のタクシーは、総じてみんな感じがいいのだけど、その晩だけはどうも様子が違う。
運転手の態度が異様に悪い。
一言もしゃべらない。メーターを見るまでもなく、スピード違反している。運転も乱暴だ。
途中、信号無視をした時点でとうとう堪えきれなくなり、車内に備えられていた苦情専用の葉書にそっと手を伸ばした。
それを察したか、急に運転が大人しくなったので「ま、いいか」と手を引っ込めた。
ところが、家の前について料金を払い、車を降りた途端、黙ってこちらの安全も確認せずドアを閉め、まだ車から離れてもいないのに急スタートさせて行ってしまった。
最低最悪の気分になり、家に入って夫にその出来事を話して聞かせた。
すると

夫「で、その苦情の葉書は?」
私「……え?」
夫「持ってこなかったの? じゃ、タクシー会社の名前とか、運転手の名前は?」
私「わかんない。覚えてない」
   ここで夫のエンジンがかかる。
夫「だめじゃん、泣き寝入りしちゃ」
私「だって、こんなことで騒ぐの大人気ないし。忘れた方が……」
夫「なんで? その運転手、またやるよ。大人しそうな相手を見つけちゃ」
私「あうう……そうかな」
夫「そうだ。それが岡田くんだったりしてごらん。相手が有名人だからって、もっと派手に嫌がらせするよ。相手の弱みにつけ込んで」
私「なんでそこに岡田くんが出てくるの?」
夫「(質問を無視し)岡田くんが、仕事で帰って来て、疲れてへとへとなところへ、そんな嫌がらせされたら、どう思う?」
私「(想像して、思わず)いやっ!」
夫「何もしないと、岡田くんを嫌な目にあわせるのに手を貸したことになるんだよ。それでいいの?」
私「(しょぼーん)」
以下、夫の小言が小一時間ほど続く。

……完璧に論理的に破綻しているような気がする。
岡田くんがあの失礼なタクシーに乗り合わせる確率は、私が宝くじで1億あてる確率ぐらいに低いと思うから、関係ないと言えば関係ないわけだし。
だけど、何か理不尽な目にあっても、いつも自分さえ我慢すればいい、と思うのは、回り回って大好きな人も傷つける可能性がある、という主張には、一段高いレベルの正しさがあるように思った。
大好きな人が傷つけられる「空気」には、何もしない私自身にも責任があるのだと。
以後、自分が理不尽な目にあって、それが別の人に対して再現性がある場合、何らかのアクションを起こすように自分を作り変えていった。
私の生活とまったく接点のない、でも大好きな他人、の存在は確実にその原動力となった。

私が岡田くんが大好きなことを散々利用して、夫はこういうあざとい「教育」をたびたびしかけてきた。
娘に対する私の愛情も利用していたけれど、娘は女の子でまだほんの子供だったので、使えるシーンが限られていたけれど、岡田くんは、少年で、かつ社会人だということで、不思議なことに私のシーンとかぶるところがたくさんあった。
壊れている私ではあるけれど、おかげで何とか上を向いて生きている。
ありがたいことだと思う。

なぜ好きなのかは、うまく説明できない。
理由を挙げてみたところで、それは真実、理由と言えるのか自分でも怪しいと思っている。
それは、「やってきた」気持ち。
だけど、確かに好きだし、その人が辛いのは辛いし、悲しいのは悲しいし、嬉しいのは嬉しい。
赤の他人なのになあ……。

ジャニーズの場合、ファンというのは、他の役者のファンとはまた違った色がつけられていた。
彼らはアイドルだから、ファンは彼らに擬似恋愛をしている人たち、という前提があったからだ。
ドラマで、素敵な役者を見つけた、と喜んだのもつかの間、名前の後ろに(V6)とクレジットされていたのを見て、思わず、「やだ、ジャニーズなの?」とがっかりしたのは、もう時効かな。
別にジャニーズが程度が低いとか、そういうことを思ったわけではない。
ただ、私の年齢では、ファンになることに高い障壁があるのがその時点でわかったからだ。
コンサートに行くと、ひそひそ「おばちゃんがいる」とささやく子がいる。聞こえてるってば。
仕事場では、私がジャニーズ系がタイプだと吹き込まれてからかわれた若い男性たちが、嫌な反応をする。
顔を見るたびにダッシュして逃げるとか。
「旦那に秘密のエッチしませんか?」とかいう、卑猥なメイルが匿名で来る。
私の勘が正しければ、それは出張ホストを装ってはいるものの、送り主は若い女の子だと思う。
彼に大きな仕事が入るタイミングで迷惑メールが爆発的に増え、数千通くらい食らってメイルボックスがクラッシュすること三回。
まあ、想定していたことではあった。
もっともっと素敵な役者になって欲しい、そのバックアップをする存在としてのファン、のつもりだったけど、本人にその意志もないようなので、すべては水泡に帰したわけだ。
ファンがただの数字、頭数にしか見えないのも、この体制では仕方がないことだと思う。

藤原さんについて、毎日せっせと調べたりしているのを見て、娘はかつてのようにファンになるつもりなのかと思っているようだけど、実は迷っている。
そりゃね。美しいものを見ないと死んじゃう体質なんで(笑)、そうなればまた元気が出て幸せだろうとは思う。
いい意味で、藤原さんは正反対なので、前みたいな辛いこともないと思う。
それでもまだ迷っている。

また尻切れトンボだけど、この当たりで。