『噂や口コミとどう付き合えば良いですか?』06/05/21 松田美佐さん

今回は、岡田くんにとって、また別の意味で興味のある分野ではなかったろうか。人間がすることなのに、理解できないことのひとつで、その謎が知りたい、みたいな。岡田くんが噂嫌いだというのは本当だろうと思う。本当は噂したいけど、道徳観があるので我慢している……というレベルでなくて、何か生理的嫌悪を感じる、という性質のもの、なんだろうか。いずれにしろ、噂が好きな人ももちろん多いわけなので、なかなか理解されにくくて、浮いてしまう場面もあって、大変だろう。

さてさて、噂を研究のテーマにしている方がいらっしゃる、というのは実に興味深いことだ。私が噂というものを真剣に考えるようになったのは、もちろん岡田くんのファンになってからだ。自分が噂の標的になることも過去何度もあったのだけど、「どうやってスルーするか」がメインテーマで、なぜ噂は起こるのか、ということにまで深く追求したことがなかった。

岡田くんは、どうも先生の口から、女性の方が男性より『噂好き』という言葉を引き出したかったみたいだ。確かに、女性が数人集まると、メインの話題はその場にいない誰かの悪口か芸能人の噂話、という光景は珍しくない。陰口を言っているときの顔って、例外なく悪相だから、表現者としてすぐれた観察眼を持った岡田くんは特に苦手なのかな、と想像してみたり。芸能人、しかもアイドルだから、一般人には想像もつかないほど嫌なことがあったのかな、と想像してみたり。だけど、先生に「女性の方が噂好き」と結論づけさせるのは無理だと思う。

個人的な体験から言わせてもらうと、嫌な話だけど、男性が女性について噂をする時は、女性よりも、はるかに卑猥で無責任だという傾向がある。これがふた昔以上前だと、セクシャルハラスメントの概念が社会に存在しなかったから、仕事場や学校で「あのコは、誰某とデキテル」とか「妊娠した」なんて根も葉もない噂を立てられて、それを真に受けた人たちから不愉快な目にあわされる、なんてことはざらにあった。だから、岡田くんに、男性は噂が嫌いだ、なんて一般化されたらどうしよう、とラジオを聴いてて思ったけど、そこまでいかなくて良かった。

ところで、面白い、と思ったのは、噂に対処する方法として、別の話にする、というのを先生が挙げられていたことだ。エイズにかかった人が、「噂によって、この病気に対する差別がわかった」と述べた途端、噂がぴったりやんだ話。それとそっくりのことが私にもあった。パソ通時代、今の夫と結婚することに決めて、それを掲示板で発表した途端、フリーボードに卑猥な誹謗中傷がびっしり書き込まれた時、ある人が私に「自重したら?」と言ってきた。それを受けて、「自分で薄汚いイマジネーションを作っている馬鹿どもの言うことに振り回されるのはやめたらいかがですか」と返事した。私の予測では、百戦錬磨のフリーボーダーが逆上して、すさまじい反撃に出てくる……はずだったのが、それきり誹謗の書き込みがぷっつりやんで拍子抜けしてしまった。理由はよくわからない。芸能人だと、「馬鹿ども」とやるわけにはいかないだろうけど、何か同様の、噂を立てることについて自意識を感じさせずにいられない、何らかのリアクションを起こせば良いのだと思う。

インターネット時代になって、噂の寿命が短くなってきている様子。同時に噂の魅力も薄れていって、実害も少なくなっていくかも知れない。少し希望をもっていいかな、と思う。インターネットにはいろいろ問題もあるかも知れないけど、ないと私は困る。これがあるから、世界の中心で岡田くんへの愛を叫んじゃったりできるわけなので。これは余談だった(照)。