本>数学の本、三冊

例によって、勝間和代さんの本「ビジネス頭を創る7つのフレームワーク力 」を読んで、触発されて、論理力や数字力を高める目的で、去年の春頃にまとめて三冊読んだ数学関係の本である。


とっかかりは、映画『ビューティフル・マインド』だった。天才数学者ジョン・ナッシュの生涯を描いたこの映画に感動し、ゲーム理論に興味を持って読んでみた。
ゲーム理論についての学術的な詳しい説明があるわけではなくて、それに関わった数学者たちの人生と社会への影響の歴史が書かれている。
この映画と、この本をきっかけとして、ゲーム理論複雑系量子力学へと読書の幅を広げていったけれど、それら、現代最先端の理論の数々を理解するには、もっと私自身の数学の基礎力をアップさせなければならない、という地味な結論に至ってしまった。
物語風に書かれた初歩の量子論の本も、直観的に理解することすら無理だった。
娘が、私からそれらの本を借りて読んでいたら、教授から声をかけられて「お母さんが今、量子論に凝っているんです」と答えて、「面白いお母さんだね」と驚かれたそうだ。
本の内容をすべて理解できているお母さんだったら、確かに面白いだろうけど、入門書を読んで、未だ門の前でうろうろしているだけですから。
相対性理論以前の科学は、もっと一般人が「なるほど!」と膝を打ちたくなるような論に満ちていたけれど、現代の科学は入ってくるものに大きな壁を越すことを要求するようだ。
ああ、ダメかも知れないと言われると、ますます憧れが募ってしまうなあ。
まるでいい男みたい(笑)。
とりあえず、高校生向けの統計学から始めている。


こちらは、アメリカのテレビドラマ『NUMB3RS』の解説本である。天才数学者が犯罪を数学を用いて解決していく、というストーリー。
そこに使われている数学は、実際に捜査に使われている理論である。
それって、脚本がすご過ぎる、という話だな。
アクションを見ているのとはまた別の、すかっとした感じがする。
日本の物語作りの現場にも、こうした、高度な専門知識を基にする姿勢というか、方法論を取り入れたら、すごいことになるように思うのだが、どうだろう。
それにしても、このドラマ、DVDにならないんだろうか。


コンピューターが世に表れ始めたときに、人間は今に不要になってしまうのではないか、という不安がよくささやかれた。
しかしそれに対して、人間の脳はコンピューターなど及びもつかない大容量、大量処理だ、という説明がよくされた。
脳の持つファジーさも、実は創造に向かう大切な要素であるとも。
人間がコンピューターに負ける日は来ない、そう思われた。
しかし、それが覆る日はやっぱり来てしまった。
人間の脳の容量だって処理速度だって、無限ではないのだから、時間の問題だったのかも知れない。
何しろ、コンピューター技術の世界は日進月歩だから。
人間の直観がコンピューターに完全に敗北しているシーンが、実際にはたくさんある、と、この本で知った。
『絶対計算』このキーワードが周知のものになったら、社会全体が変わってしまうかも。
個人的には、この中で、映画のシナリオ作りに巨大データベースを解析した、絶対に客の入るシナリオ作りのところが一番心に引っかかった。
映画の興行が、博打ではなくて、ある程度結果が予測できるものになったら、確かにそれはすごいと思う。
この本を読んで、ためしに解析用のデータベース作りに取り組んでいる業界の人がいるかな、と思ったのだけど、どうなんだろう。
あと、どうしても気になったのは、政策を実行するのに、無作為抽出の実験が行われている実際のケースの紹介だ。
日本だって、官僚はわが国のトップクラスの頭脳の持ち主ばかりのはずだ。
まさか、なんのテストもしないで、教育やらなにやらのシステムを、根拠の薄い予測で作っているとは思わない。
だけど、それをやっている、という具体的な話は、まだ聞いたことがない。
できれば、そんな話をいろいろ聞いてみたい。
これを読んでから、自前のデータベースを作るために、エクセルで統計処理する勉強もぼつぼつ始めている。

……ストレングス・ファインダーをやってみてからこっち、『戦略性』というキーワードに取り付かれて、ずっとこんな調子でやってきているのだけど、やればやるほど、やることが増えていくようで、驚いてしまう。
充実してて良いんだけど。これだけ投資するんだから、いつか社会に生かしたいものだ。