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『物語の体操』という本を、八年ほど前に読んだ。
小説を書く「技術」を述べたものだ。
この中にルーンカードという、トランプの原点のようなカードが紹介されている。
カードには、「清楚」とか「寛容」とか、人間の性質に関わるような抽象的な言葉がひとつひとつ書かれている。
それを、タロットカードの占いの要領で並べ、そこに出た答えに沿ってお話のプロットを書く、というものだ。
偶然に出たカードに厳しくしばられつつ、その縛りに逆にお話を生み出してもらう、という仕掛けだ。
「ほほう」と思い、さっそく試してみた。(写真)
これを使って、プロットを作り、当時やっていたシナリオ通信講座の20枚シナリオの課題を半数以上書き上げた。
さくさくとお話を生み出せる優れた方法であることは保証する。
ただ、途中で心に妙な疲れを覚えてしまったので、「偶然を利用する」という部分だけいただき、
いろいろな方法を試しつつ、今日に至っている。
何年か前にやった、「三題小噺」方式の詩作も、実はこれをヒントにして編み出した。
ただ自由に発想するときより、はるかに発想が泉のように湧き出す。
それは嘘ではない。
私は、その三題をカードで毎朝引いて、だいたい15分くらいでひとつを書いていた。
半分くらいは詩とも言い難い駄作ではあったけど、
残りは、自分の潜在意識を掘り起こすことに成功できている。
というわけで、これはお勧めできる。

最近、『物語の体操』の作者、大塚英志さんの『ストーリーメーカー』を読んだ。
『物語の体操』より、さらにさらに、物語作りが機械仕掛けになっている。
私は、仕事柄か、システマティックにものづくりすることにほとんど抵抗がないのだけど、
それでも、物語をこういう風に作ることには最初、ずいぶん違和感を感じた。
だけど、やってみると、ルーンカードと同様、縛りによって逆に自由になれるようである。

ついでに、ストレングスファインダーの34の強みをカードに書き出し、それを任意に五枚引いて、
その結果で物語のキャラクターを新たに作り上げるという実験をしている。
つまり、実際の使われ方と逆ということで。
これは、娘と二人でやったときに、ものすごくはまった。
どんどんキャラクターが出来上がって、その人の口癖や服装の好みまで
ぽんぽんアイデアが飛び出すんだから、面白くて。
このアイデア、隠しておこうかと思ったけど、公開してしまおう。

もっとも、お話づくりで、こうした偶然を使っている作家というのは、実はいるらしい。
どれくらいいるかは知らないけれど。
だから、私はたまたま自分で発見したけど、実は既にある技術の可能性もある、ってことで。

物語づくりについてのつれづれでした。

魔法使いへの道は、やや遠い。