『かもめ食堂』

『イベリア 魂のフラメンコ』を見たときに、予告編として流れているのを見て、「これはぜひ見たい」と思っていた。
予感は的中。面白かったー!
大事件も、サービスショットもないんだけど、本当に良いんだから。
例えば、台詞のないシーンが次々と続いていくのが、ただ見ているだけで気持ちいい。
オールフィンランドロケということもあって、異国情緒というか、「何を見ても新しい」からそう感じるのかも知れない。
だけど、それだけではなくて、自然も人間も人間の作ったものも、とてもゆったりしている。
観光地化されていない場所であることも大きいのだろう。
この街にある、日本人女性が一人で切り盛りする日本食堂『かもめ食堂』。
主人公の女性三人が、本当に良い。
小林聡美さん、片桐はいりさん、もたいまさこさんの三人の周囲を流れる時間が、街にぴったり合った感じだ。
日本女性って、素敵だと思った。
だけど、日本人の中でも、とても変わったタイプの人ではあるかも知れない。
もともとがつるまない人だ。
観光地化されていない外国に、一人で旅をしてきた人たちだから。
日本ではちょっと浮いてしまう人たちが、フィンランドに来て、本来の日本人らしい丁寧な暮らしを営んでいる、というのが、とても心地よい。
台詞のある場面では、別に笑うシーンではないのかも知れないけど、妙にほのぼのと笑える。
本当になんでもない台詞なのかも知れないけど、この三人が口にすると、日本語っていいなあ、と思う。
今、本当に日本映画って元気がいい。
未来に希望が持てて楽しい。

一番好きだった台詞。
ガッチャマンの歌を完璧に覚えている人に悪い人はいません」
その定義でいくと、私も悪い人ではないことになる。嬉しい。