物語考>恋物語について

今年の春ドラマは、いつになく恋ドラマのラッシュのようです。それに因んだ、恋ドラマの歴史を解説したブログを読みました。トレンディドラマから始まるリストは、高視聴率の有名どころのドラマばかりですが、それらのたったのひとつも見たことのない自分を再確認して、ちょっと倦怠感をおぼえました。建前ではなく、本当に恋愛物は守備範囲外なんだな、と。贔屓の俳優、監督、脚本家が作っているのでない限り、恋愛物に視聴の意欲が湧かない体質のようです。よく誤解されますが、これはそれなりに生き辛いものではあります。というわけで、横浜流星さんが出演されるので「#着飾る恋」見ます。見る以上はとことん楽しみます。

そう言えばアラフォーの頃、「冬のソナタ」が爆発的なヒットをして中高年女性の韓流ブームがニュースにもなりました。職場では韓流ファンだと決めつけられて、たびたび不愉快な思いをしました。見たことないし、見ようと思ったこともないといくら言っても通じないのが意味不明。「オバサンって韓流好きですもんね」とサラッと言った20歳の女の子いました。やれやれです。他者を年齢性別でカテゴライズしてキャラを固定するのが楽なのかも知れません。ただ、中高年の女性の多くに刺さった理由として、韓流の恋愛物の空気感が、かつての日本のそれと似ていたからだと言います。世相を受けて、恋愛物の流行も時代と共に変わっていきますが、それぞれが刺さる物語もスライドしていくってことですね。

同じく韓国ドラマですが、最近「愛の不時着」は、のめり込んで見ました。娘が「ともかく見て」と言うので、見始めたらつい。ハマりの流れが「エヴァンゲリオン」と同パターンです。「凪のお暇」も。恋愛物だけど、2人が置かれている状況があまりに厳しくて。障害があるほど恋は燃えるそうですが、身分制度がなくなった現代、韓国ならではの特殊な壁が織りなす恋のお話は、ハラハラドキドキの連続で、面白く、切なく、素晴らしいものでした。

話は戻って。

件のブログによれば、日本の恋ドラマの今のキーワードは「自分らしく」だそうです。「アナと雪の女王」の有名な「ありのままに」という歌のフレーズが大流行した頃、「いやいや、ありのままじゃいかんだろ」という呟きを散見しました。人の目に合わせて自分を殺していた女王の、自己解放の歌なのに、その反論はつまり「人に気に入られるように生きろ」という意味になります。別に気にいってもらわなくて結構。自分で自分に納得いく方が100万倍(当社比)くらい重要だ、と思うのは歳のせいでしょうか。みんな、特に女性たち、負けちゃダメだ、とことん自分らしく生きるんだ、人に迷惑をかけず、犯罪も犯さず、自分を破滅させないことなら何でも自由。そう心の中でエールを送った次第。

でも、自分らしさとは何なのか、抑圧されて生きてきた人ほどわからないものです。「凪のお暇」や「#はじこい」のヒロインは、支配的な母親のもとで、自分らしさを見失いかけていたところ、新たな人々との交流によって取り戻していきました。

その逆で、自分らしく生きてきた人でも、恋をした途端に「らしく」いるより、相手に合わせることを選んでしまって苦悩するパターンもあって、ままなりませんね。密かに好きな相手の「異性の好み」を聞き出して、それに合わせるための「らしくない」努力をするとか、経験からしていって、好きな相手から軽んじられるのが落ちなのでお勧めしません。

あ、でも、中学生の時に好きな人が「三国志」が好きだと言ったのをきっかけに、中国文学にハマって、後々いろいろな場面で得しました。建築業界は男社会ですから。きっかけは好きな人でも、途中でそれがどこかに行って夢中になるところが私の「らしい」ところだそうです。

好きな作家のたった一冊の本をきっかけにニッチな進路を決めて、関西の大学で今、教授をしている変わり者の同窓生(女性)もいます。

好きな人の内なる世界を知りたい、というパッションは、概ね良い結果を生むようにも思います。

横浜流星さんが筋トレが趣味というので、自分もはじめたファンがいるそうですが、体作りは健康の基本ですし、特に女性は出産育児に筋力あった方が断然有利ですから、とても良いことだと思います。運動はモチベが肝だと言いますし、横浜さんが先導してくださるのは心強いことです。

好きな人ができてはじめて、自分らしくいることに覚悟と勇気が要るようになるのかも知れません。新ドラマ、そこのところ、どんな感じになるでしょう。どんどん楽しみになって来ました。

 

今日はここまで。

では