映画「ただ君だけ」鑑賞~「きみの瞳が問いかけている」

「きみの瞳が問いかけている」は、

韓国映画「ただ君だけ」のリメイク、ということなので、

配信サービスで見てみました。

ちなみに、巷での言い方にならうと、「五塁」した後の鑑賞です。

また、「ただ君だけ」は、チャップリンの「街の灯」にインスパイアされた、

とのことなので、一部見てみました。

「きみの瞳が問いかけている」が、

元映画を相当に忠実にリメイクしていることがわかりました。

ちょっとした台詞や、街の空気感にいたるまで。

こうなると、むしろ「同じこと」よりも、「違うこと」の方に

意識が向きます。

 

監督が特に変更点に挙げたのは、男女の年齢差の逆転です。

韓国版は、30歳男性と推定26歳女性のカップル。

日本版は、それが男性24歳までに下がっています。

女性が男性に可愛く甘えて二人睦まじく過ごしている韓国版に比べ

女性の母性がより前面に出ている日本版、という違いがあります。

その「違い」によって、明香里は、塁にとっての

「家族」「帰る場所」という意味合いが強くなって。

「椰子の実」のエピソードはそこにかかってくるのですね。

ラストシーンの台詞の違いも。

ここが日本オリジナルの一番のポイントかと思います。

 

オープニングの塁がネカフェで目覚めるシーンは

韓国版にはありませんでした。

日本版のあのシーンを見ただけで、

塁の孤独に胸が詰まる思いがしたものです。

塁の孤独は、傷つけた人たちに対する

罪の意識が強いことから来るのは、すぐにわかりました。

傷害事件のディティールがまったく異なります。

日本版の方が韓国版より「取り返しがつかない」感が強烈です。

明香里とのシーグラスのやり取りは、そこに結びついていくのですね。

 

韓国版のシスターは、ユーモアがあって主人公を

和ませてくれる人だけど、仲介者の役に留まります。

日本版のシスターは重要人物で、

その言葉は慈愛と赦しと救いに満ちていて、

それを受けて戦いに向かう塁の決意が、

悲壮というより、何かしら神々しい感じがするところが、

日本版の好きなところです。

 

横浜さんは、過去作品も総括して思うに、

女性に対してとても包容力のある演技をされる方で、

女性を抱きしめる時の「離したくないからしっかりと、

でも傷つけないように優しく大事に」という絶妙の感じとか、

相手への愛情がついダダ洩れてしまう優しいまなざしとか。

加えて、この映画のちょっと相手の気持ちを心配そうに眼で探るとことか、

明香里が喜ぶと嬉しそうなところとか、

安心して素直に甘えるところとかも、良いですなあ。

で、闘うとめちゃくちゃ強い、と。

これはブレイクして当然、と感心する次第。

 

今日はこんなところで。

ではでは