『ロボットの未来はどうなりますか?』06/01/22 高西淳夫さん

ロボット工学の先生といえば、以前、「『非まじめ』のすすめ」という本のことを思い出して書いたことがあるのだけど、その著者は森政弘さんというロボット工学の第一人者だった。
生物工学的なアプローチをロボット工学に持ち込んだ人として著名な方だそうで、その本が本当に面白くて、目からうろこが落ちるとはこのことだ、と思った。
もう、二十五年も前のことだけど、たぶん今読んでも新鮮な感じがするはずだ。

そして今回、高西先生の、ロボットを研究していくことが、人間工学を研究することになっていく、というお話、とても興味深く、楽しかった。
日本のロボット研究は世界トップで、それは総合力に優れている日本人の特質を反映している、とのこと。
私もものづくりの仕事をしている感触で予想していたことだったので、とても嬉しい。
それから、日本が江戸時代という平和な時代に移ったときに、エンジニアリングの主流が武器からエンタテイメントに移って発達した、というお話も。
こんな国民性だから、何かの偶然で、日本が産業革命の発端になっていたら、その後の世界史はまったく違ったものになっていただろう、と思う。
農耕民族的な空気がグローバルになった世界は、なかなか素敵だと思う。

ところで、岡田くんが、日本のロボット事情の質問をする時に、アニメなどでは、ほとんどが「戦闘用ロボット」として出てくる点を指摘する視点がとても面白く感じられた。
それが日本人が持っているロボットのイメージなんだと。確かにそうだ。
エンタテイメントが、実は国民感情を掴んでいるのではないかと、最近思うようになった。
さすがは岡田くん、いいところを突いてくる、と思った。
ロボットが作る未来は、だけど、日本の高齢化を支える明るいものにできる、という先生の言葉。
とても希望に満ちたものとして感じられる。
日本人は、それを選択できる、と信じたい。