『いい声ってなんですか』06/01/15 磯貝靖洋さん

さてさて、仕事も一段落したし、サボりまくっていた感想文、再開しないと。
この回で、『声』についていろいろお話が聞けた後、ずいぶん経って、岡田准一くんの『ゲド戦記』への声優のお仕事が発表された。
タイミングとしては、もうこの頃既にオファーがあったのではないかと思うのだけど、どうなのだろう。
岡田くんのチャームポイントを語るならば、個人的に、一位 目。二位 声、三位 指、となっている。
舞台『エレクトラ』で、「生声」を聞く夢もかなった。
それだけ、意外に低くて心地良いあの声が好きだったし、俳優として大切な資質のひとつだと感じていた。
プロデューサーの目(耳?)でそれを評価してくださる方がいて、ファンとしては嬉しい限りだった。
そんなことを思って、この時のトークを振り返ってみると、声のプロの方が設定するハードルというのは、もっと高いものだと感じる。
それに、発声する際にマスターしなくてはいけない要素が、思っていたよりはるかに多く感じた。
岡田くんがABCDEの五段階でCというのは、ちょっと微妙な話だな、と思う。
それは「いい」のか「悪い」のか。並みの感覚では、「まあ普通」というレベルに感じてしまう。
すかさず、「良いところは?」と聞く岡田くんが面白かった。「悪いところは?」じゃないのが。

それはさておき、ひとつ重大なことに気がついた。
役者の資質として声は重大だと思う。
だけど、それよりさらに重大なはずの歌手にとっても、日本では正式なボイス・トレーニングはあまり一般的でないらしい。
それを知ったのは、華原朋美さんのアメリカCDデビューのトライの時だった。
あの歌声が、みっちりトレーニングを積んだ末の声じゃなかった事実も驚きだったが、
アメリカのボイスレッスン環境が、日本とは比べ物にならないほど充実していることにも驚いた。
テレビや舞台の芸能に対する、考え方の違いなのだろうか。
結果、日本の舞台役者の声のレベルは、「よくあれで仕事が来るものだ」と言われるほどだ、
というのがとても悔しい。
日本では、「声を楽しむ」という回路は、あまりないのだろうか。
声優で著名な人はたくさんいるけれど。
レッスン環境を良くする為に必要なことのひとつは、優秀なトレーナーがたくさん生まれることだと思うが、それが阻害される理由のひとつは、まだニーズが生まれていないこと、だろうか。
でも・・・・・・岡田くん、最近、妙に声がよくなってきたのは、何かやっているでしょう?
そういう点では、感動するほど真面目で真摯な我がアイドルのことだから。
それで何かまた新しい流れが生まれると、素敵だと思う。