:『地震の研究はどこまで進んでいるんですか?』05/9/11 土井恵治さん

9/11
土井恵治さん

ここに引っ越しをしている時から、ずっとこのラジオ番組のレビューをさぼってて……何だか、夏休みの宿題をぎりぎりまでやらないでさぼっている小学生のような気分だった。お話はどれもこれも面白かったのに。書いている時には、達成感とか充実感とか、必ずしも感じているわけではないのに、書かないでいる時には決まって「やるべきことをやっていない」という焦りを感じる。何か、後ろから追っかけてきているのかも知れない。チクタク・ワニ? 
さて、では宿題を一気に片付けますか。
まずは、地震研究の土井恵治先生。どうしてか、理系の研究者に対して、物語を強く感じてしまうところがある。地震と言えば、大学時代、一番好きだった先生が、地震工学の教授だった。一番最初の授業の時に、学生時代、福井地震の現地調査に行った時の話をしてくださった。近代的なビルが無惨に壊れているところを見て悲しくなって、絶対に、日本を、地震で建物が壊れず、地震で人が死なない国にしてやるんだ、と誓ったのだとか。その教授が生きている間には無理だったけど、確実に進歩はしてきた。だから、そんな気持ちを持った人がいる限り、日本はきっといつの日か……と思う。
世界をよりよくするために、自分にできる具体的なものをひとつひとつ片付けていく、というメンタリティの人は研究者・技術者にとても多いけれど、日本人のそうした人たちには、高いレベルで倫理的な人が多いのは、日本が誇れることのひとつだと私は信じている。
話は戻って、研究が長年続けられてきた今でも、地震が起こるメカニズムは完全には解明されていないらしいとのこと。予知は難しいのに、確率的にはかなり高い数字で、生きている間に大地震がやってくることだけはわかっている。何だか、少し未来にかげりが見えてくるような気がする。岡田くんはこの手の話にずいぶん影響されるみたいで、その当たりには親近感をおぼえる。生き延びる努力を、いろんな形で積極的にする必要を感じてもらえると、彼を大切に思う身としては、むしろありがたいことだと思う。また、そういう認識を持つ人が増えれば、確実に日本は良くなる。危機感こそは、人を緊密にするものだとも思う。