『いい住宅ってなんですか?』05/10/9 長嶋修さん

10/9
長嶋修さん
私の仕事と近い人がゲストで、とても喜んでいる。長嶋先生、すばらしい方だ。こういう人がいるから、投機の対象となってめちゃくちゃになってしまったかのような日本の不動産の状況も、最悪の事態にならずに何とか健康を取り戻しているのだな、と思う。
しかし、岡田くんはもっとロマンチストだと思っていたけど、時々俗物のおっさんみたいなことを言うので、このギャップはどこから来るんだろうなあ、と不思議でならない。それについては自覚があるようなので深くは追求しないことにする。だけど、それ以前に、日本人がとても守りにはいるタイプの国民だというのは、貯蓄額とか、家に対する執着とか、さまざまなところに現われている。一体、この国の人間は、何を恐れているのだろう。
生きていくのが恐くて不安でたまらない、というのは、少子化の問題にしろ、家族の問題にしろ、今までこの番組で取り上げられてきた様々の問題と繋がっている。目先のことに追われている、ということは、それだけ未来を信じることができにくくなっているのと同義だと思う。私は、それほど未来を悲観してはいないのだけど、それはどうしてかというと、ニュースも新聞も見ないから……なんていうのは、悪いジョークかもしれないけど、ある意味当たっていないだろうか。同じニュースに国民が一斉に反応して動くと、とんでもないことが起こる。土地問題にしろ、風評被害にしろ、いつもそうだった。それは、先生がおっしゃった、「絶対的な価値」つまり、「私は」これが好きなんだ、という行動原理で人が動かないで、いつも相対的な価値で動いてばかりいる、ということだ。それは、たくさんの人が動かないと、お金がもうからない、ペイしない、という構造を、このむ経済社会が持っていることの副作用ではないだろうか。
誰かが言っていた。たくさんのお金をかけて作って、たくさん消費されるようなものを作るんじゃなくて、小さく作って、気に入った人だけが買う、というシステムを、ネットワークなら作れる、と。つまりは、経済をはじめ、社会を支配しているのは情報。それをネットは変えられるのではないだろうか、と。
話が大きくなったけど、今回のお話を伺っていて、そんなことを考えた。