『日本語はどう変わっていくんですか?』06/01/09 井上史雄さん

さて、日本語の専門家の方の登場。
ずいぶん前に、日本語はずっと変わり続けてきたのに、世代で変わっていくことに目くじらを立てる人たちは少しおかしい、なんてことを書いたことがある。
なぜって、「最近の若いやつけしからん」と言うのがだいたい私と同年代の人が多いのだけど、
私も散々、親から言葉チェックをされた若い頃があったから。
私の新しい熟語の使用は、全共闘を思わせたようだ。
妹は感性の爆発したような「女子高生トーク」だったのが親には軽薄に見えたらしい。
言葉狩りは会話を中断させて、断絶を生む。
親はこっちとはそもそも会話をしたくないんだな、というのがばれてしまうのだ。
そんな経験は、どの年齢の人にもあると思うので、「自分のことを棚にあげちゃって」という気持ちがあったのだ。
そうそう、「最近の若い者は」というフレーズは、人類の言語の歴史とともにある、というのは興味深いことだと思う。
長いスパンの流れがそうだわかっていても、今、目の前にある変化はなかなか自然なものとして受け止めにくい人間の心理も面白い。

最近の言葉狩りのメインテーマは「ら抜き言葉」だとか。
それを、言語学者の視点で、どういう理屈でそうなっていくのが説明してくださっているのが、
これまた「目からうろこ」だった。
また、言葉が合理化して変化していくと、それを学ぶ多言語の人間が増えていく、という利点も示していただけたことも。
岡田くんは、さすがに仕事柄言葉には敏感なようで、的確な質問をどんどんぶつけていって、面白い話をどんどん引き出してくれたので、この回は私もとても楽しかった。
それにしても、日本語が世界でも、「生き残る」ほどに強い言語だというのは嬉しい。

岡田くんが最後に示したとおり、日本語に対するスタンスとして、道具として合理化して使っていく方向と、文化として愛していく方向と、両方あるといいんじゃないかと、個人的には思っている。