ドラマ「DCU」最終回

ドラマ「DCU」の最終回を見てから1週間経ちました。その間に続けて、paraviで1話目から通して見てみました。見返すと、全体のパターンが見えて来ます。一見、悪そうな人が必ずしも悪くないし、いい人だと感じた人も必ずしも善人ではない、ということですね。単純に謎を複雑にする為なのか、現実がそういう風にできているのをドラマ内で描写しているのか、そこは分かりません。個人的には後者かな、と思います。例えば、DVする人が恐ろしく外面が良いのは、良くあることだと言いますし、詐欺という犯罪も存在するのだから、人はそもそも見かけでは判断できないものかも知れません。

それを言うならば、主人公新名隊長の「この人信じていいのかな」と周りを戸惑わせる初回の立ち居振る舞いや、事件時のチビ陽生ビジョンでの怪しさも、人間への判断を遅らせるものでした。成合さんの分からなさも同様。中身が重厚になってしまうと、外からはシンプルに分かりにくくなってしまう・・・確かに現実もそんな感じです。

人間が歳をとればとるほどにシンプルでいられないのは、環境がシンプルではないからでしょう。国際テロ組織は存在するし、こんな世の中になったので、日本もこれからどんどん巻き込まれていくはずです。過激派の爆弾テロなどがあった昭和を生きた者としては、ここしばらくの静けさが一時の平和に過ぎなかったのかな、と感じています。

劇中に、人間を動かすのは金と恐怖しかなく、正義や理想では誰も動かない、なんて言葉がありました。若い人の台詞ですね。そんな単純なものではないです。テロ組織の動機は、たぶん表面はその人たちなりの正義や理想だし、お金や恐怖に命を賭ける人はいませんが、正義や理想に賭ける人は古来後を絶ちません。こちらには理解できない理想のために命懸けでやってくる相手と戦うのは、気が重いことです。テロ組織の創造力に満ち溢れた攻撃に対して、後手にまわって防御しなくちゃならないんですね。まったく、攻撃する者の頭の回ることと言ったら。

「DCU」はそんな攻防のひとつを描いてみせた点で、とても興味深く見させていただきました。海上保安の仕事について、もっと知りたいと思います。それと、成合さんは何がしたかったのか、何を考えているのか、それがわかる続編をお待ちしています。横浜さんの「動」と「静」をどちらも味わえたのも、視聴者的にとても楽しく、日曜日が来るのが毎回楽しみでした。横浜さんにしかできないアクションがあると思うので、それが生きる新しい物語を、願っています。

では