映画「鬼滅の刃」見てきました~親からもらった言葉のこと

 映画「鬼滅の刃」見てきました。

すごい興収を上げて、現時点で歴代二位と聞いたので、好奇心に負けてしまいました。

元ある設定について知識がなくてもそれなりに楽しめる、というネットでの情報を信じて見てみました。

物語の主人公は竈門炭治郎ですが、この映画では炎柱の煉獄さんが主役でした。

シンプルに言うと、力を持って生まれてきた人すべての、希望の物語、だと思います。

 

夢を操る鬼の術に落ちて、鬼殺隊の四人は列車の中でそれぞれ夢を見るのですが、辛い現実とは正反対の、懐かしい暖かい夢の中から出られないでいる内に死んでしまう、という強力な罠なのですね。

煉獄さんは、子供の頃に病気でなくなったお母さんのかけてくれた大切な言葉を、夢の中で再現します。

この辺りが、私にはツボ過ぎて、初対面なのに煉獄さんが好きになってしまいました。
「あなたのような強くて優しい子の母親になれて・・・」という感謝の言葉。

煉獄さんがずば抜けて強く生まれてきたのは、それで人々を助けるためだという教えの後に、抱きしめてそう言うのですね。

思うに、煉獄さんのお母さんは、子供の煉獄さんが、強くて優しい子だったからそう言った、という以上に、そう言ったから、さらに強く優しい大人の煉獄さんになる道を開いた、という面も強いかと思います。

ちゃんとその言葉を忘れずに、見事な大人になれたのだから。

「あなたのような人に産んでもらえて幸せだった」なんて、子供に言われたら泣いちゃう。

最期に、ちゃんと迎えに来てくれたお母さんに褒めてもらえて、本当に良かったね。

夢を操る鬼も上弦の鬼も、そのあたりの人間の心のあり様が理解できないので、誘惑の夢見や言葉でどうにかできると思って、しくじるわけですね。

今までの「柱」は誰一人、誘惑に乗らなかったのに学習しないのは、そこそこの人間に対して成功体験があるためでしょう。

こういう鬼、そこらかしこにいるような気もするし。

 

以下、自分語り。

親と言うのは時々、子供に死ぬまで響く言葉をくれるものです。

私の人生の中で、時々蘇ってくる父親の言葉がありますが、それは「天に恥じることをしていないのなら、人に何を言われても構わん。胸張ってろ」というものです。

どういう状況でこれを言われたのか覚えていませんが、小学生に「天に恥じる」なんて言葉が理解しづらいし、女の子に語るには変に力がこもり過ぎててアレですね。

でも、大人になっても何度も蘇ってくるところをみると、私にとっては、「支える言葉」として大切な言葉だったに違いありません。

 

あと、これもまたどういう状況で言われたか覚えていませんが、ある日父親が珍しく激怒して、「女だから頑張らなくていい努力しなくていい、と言うのは、女は人間じゃないって自分で言い放ったことになるんだぞ! お前は人間じゃないのか! 下等動物なのか!」と怒鳴りましてねえ。

高校生だった私は当然反発しましたが、この言葉には巧妙に、女だからって下等なわけじゃない、だから努力を諦めちゃだめだ、という強いメッセージが込められています。

学校でも社会でも逆のことを言う人ばかりだったのにもめげず、父のおかげである種の後悔だけはしないであの世にいけそうです。ありがたい。

父は、大正生まれの人間にしては、けっこう進歩的な人だったのかも知れません。

・・・鬼滅の刃の舞台は大正時代ですが、もしかしたら、その頃は、むしろ今よりもはるかに人間の自由や聖性を信じる、そんな進歩的な時代だったのかも知れません。

 

令和になって、未曽有の厄災に見舞われて、何かこう心に響いて内側からすっかり変わるような、そんな言葉が欲しいな、と思う今日この頃。

鬼滅の刃。評判に違わぬ、すばらしい映画でした。

 

今日はここまで