「宮本武蔵」が面白くって

吉川英治著「宮本武蔵」を、先週末までに読む予定だったが、まだ途中だ。
ちょっといろいろばたばたしてて。
だけど、通勤の行き帰りと昼休みの最大の楽しみになっている。
読み終わるのが何だかもったいない。
これ、面白いわー。いやあ、期待以上だったなあ。

ところで、連休に入る前、仕事場の人たちと雑談していたら、何気にここの人たちは昼休みに読書して過ごす習慣のある人が多くて、自然に本の話になった。
中堅の若い人は、宮部みゆきさんのミステリーが好きなんだそうだ。
時代物フリークの年配の人は、「年をとると、歴史が好きになるんだ」と言って、司馬遼太郎やその他の大御所の名前を次々とあげていく。
それを聞いて、「吉川英治はいかが?」と言いながら、「宮本武蔵」を見せた。
「ほうら、年をとるとやっぱりみんな歴史が好きになるんだよ」と、さりげなく地雷を踏む豪の者(笑)。

ただ読んで思ったけど、「宮本武蔵」は年をとってからも良いけど、うんと若い時に読むと、かなり得するかも知れない。
できれば、物語最初の武蔵と同じ17歳に。
自立して生きていくためのヒントがぎっしり詰まっている。
沢庵和尚に諭されて、剣で己を磨こうと武蔵は旅立つ。
武蔵は、沢庵が自身を磨いた禅と、自分の剣を同列に捕らえている。
それぞれを磨くものが違う、ということを自然に受け止める。
武蔵に、類まれな剣の素質があったからこそ、沢庵のそれも類稀なものだと直観する。

藤原竜也さんが自分を磨くのに選んだものは、役者道なんだな。
ふっと、そう思った。
インタビューで、(学校で習う)数学より、世界史より、蜷川さんや唐さんが交わす芝居の話が勉強になる、と言っていたのを思い出した。
教養というのは、もともとそういうものだったろう。
藤原さんのこういうところが、とても好きだな。

帰りに書店で「井上雄彦ぴあ」なる本を見つけた。
表紙がバガボンドの武蔵の顔だったので、ちょっと気が引かれたのだった。
そうしたら、「スペシャル対談 小栗旬」とあるではないか。
もうちょっとで見逃すところだったわ、危ない危ない。
中を見たら、あるある8ページも。
即購入。
 (なぜ井上さんと顔のバランスがここまで似ているのだろう)
小栗さんが、今まで読んできた小栗さんと、ちょっと違う。
尊敬する人を前にすると、言葉が豊かにあふれ出すみたいな……。
普段からいろいろなことを角度を変えて、とことん考える人、って気がする。
対談、とても興味深く、面白かった。
対談の相性もとても良かったようで。
なるほど、これが蜷川さん流の言い方になると「生意気」ということになるのか。
それはたぶん、褒め言葉以外の何物でもないな。
ところで、当然『バガボンド』の美術展に絡んでの対談だから小次郎についての話題にポイントがあった。
小次郎という人物にはほとんど資料が残されていない、というのを知った。
武蔵よりずっと謎だ。
その分、自由度が高い。『バガボンド』の小次郎は聴覚障害者だ。
これは、本当に奇想天外なアイデアだと思う。
小栗さんによれば、小次郎は「丸い」存在、とか。
ちょっと新しい視点だったので、読み終わって考え込んでしまった。面白い。
小栗さんは、友達が多いのは、純粋にいい人だからというのもあるかも知れないけど、付き合って語り合うことで、発見が多い人だから、という面もあるように思う。

『ムサシ』、早く見たい。
あと4週間か。待ってると長いんだよね~。