レプリークBis、「演出家のすべてが知りたい」

新しい現場に通いだしてから3日目の駅近くで、大きな書店発見。
そこの演劇・映画関係の雑誌が充実していることに感激。
藤原竜也さんと、小栗旬さんと、鈴木杏さんの三人が表紙になっている、インパクト大の雑誌を発見して即購入。

さてさて、その『レプリークBis』。
特集13ページの内、上記の若い役者三人の対談と、蜷川さんのロングインタビューがそれぞれ三ページずつ、という読み応えのある内容である。
三人の分は、まだ稽古がはじまる前の、台本がまったくできてこない状態のもののようだ。
写真の雰囲気から推理すると、制作発表の直前か直後くらいではないかと思う。
稽古に入ると、小栗さんは表情がぐっと引き締まって凛々しく、藤原さんは逆に険が取れて包容力が増した感じになった。
その、まだ稽古に入れない宙ぶらりんな時の、それぞれの心が見えて、なかなか面白く読んだ。
「今」の蜷川さんではなくて、今までずっと見てきた蜷川さんについて、ちゃんとそれぞれの言葉にしているから。
以前、蜷川さんに対する不信、というところまではいかないけど、もしかして愛情じゃないのかも、的な言葉はあった。
人間、その時々で心理状態にずいぶん差があるから、稽古中のインタビューだと雰囲気があまりまったりした感じではなくなるだろう。
平素は優等生な発言をしつつ、そんな時にぽろっと出る爆弾発言は、藤原さんのファンの暗黙の秘密のようだ。
淡々と正直に怖いことを言う小栗さんと、この当たりも対照的で面白い。
うーん、どっちも捨てがたいなあ。

蜷川さんのは、稽古がはじまって、台本が少しずつ届いて、まだ終わりまでは届いていない、という状態の時のようだ。
確かに。役者が、蜷川さんの言葉の数々に惚れる、というのはとてもよく理解ができる。
私も、言葉に一番敏感に反応するたちなので。
蜷川さんの演劇ブック、ずいぶん前に買って、わからないながらも読んだ。
嗤う伊右衛門』を見た直後だ。
まだ全部読み終わってない。トリップするのはわけあって、今年の夏過ぎてからにしたいから。
「目からウロコ」というけれど、心の中に、それまでなかったほど大きな波が立つような、それでいて少しもそれが不快でないような、そんな刺激が、ページの隅々に詰まっている。
オレステス」でエレクトラを演じていた中嶋朋子さんが、蜷川さんの演出について、「殻を優しく優しく、だけどトンカチで(壊す)」と言われていたのは、これを指してのことだろうか。

例によって、とりとめもなく書いたけれど、買って損はない雑誌であることはうけあいます、ということで。