『男は恋愛によってどう変わりますか?』06/04/16 紫門ふみさん

岡田くんは、恋愛の話は、苦手だという意識は確かにあるようだけど、どうも嫌いではないみたいだ。こんなにハイテンションで話す岡田くんの声を久々に聞いた気がする。紫門さん、さすがに稀代のラブストーリーテラー。グッジョブ!である。うん、でも今時期の岡田くんたちに恋愛は大切だ。20代といえば、これからパートナーを選び合って次世代を生み出す段階に来ているのだから。……そう思ってみたけれど、国全体として晩婚化しているので、恋愛と結婚がますます乖離している、というお話だった。やっぱりそうか。

紫門さんのおっしゃるとおり、男性の恋愛観は昔と今とではあまり変化がなく、女性は可愛く優しくあれ、と求めているように思う。付き合ってくれと言いながら、すごく無礼なことをしてくる男性に限って、「女がここまで怒るのを始めて見た」とか、「お母さんみたいに優しくない」とか言うんだよねぇ。あー、思い出すたびむかつく(古傷)。けれど、結婚観は確実に変化している。一番の変化は、妻になる人に専業主婦になって欲しいか、働いて欲しいかで、昔に比べて働いて欲しいと思う男性の方が圧倒的に多い、ということだ。そんな時代が来るなんて想像もできなかった。男性の意識が「すすんだ」のか、もっといろいろな事情が隠れているのか、それはわからないけれど。

紫門さんの「私たちの頃」の女性の就職事情は、私の頃もほぼ同じだ。そもそも進学校である母校の女子の比率は、20パーセントに満たなかった。最近、ホームページを見つけて見てみたら、女子がほぼ半数に達しているので、感慨深い。偏差値も私たちの頃よりかなり上昇しているそうで、東大の進学率も十倍近くになっている。それにしても、私たちの頃は、「女は無理して大学に行く事はない」と言う人は多かったし、「男子の勉強の妨げになるから」という理由で女子の校則は男子と比べ物にならないほど厳しかった。私より少し上の人たちは下着チェックまでされたそうだ。学校でのセクハラは日常化していた。時代は、抑圧されていた者をちゃんと解放してくれるんだなあ、と喜ばしく思った。報われた思いがする。女性の意識が変わったのは、人としての誇りが増してきたことと関係があると思う。

でも、そうなった時には女性もバトルフィールドに出向いて餌を獲得しなきゃならないから、そこのフィールドのオスとは恋愛できない、というのはわかる。なんだか、話がテーマの「男性は恋愛で変わるか」ということから、このあたりでそれていた気がする。だけど、社会での力学と個人の恋愛・結婚観は密接な関係がある、という話だと思うので、これは「前提」の話なのだと思った。

たとえば、相手に失礼なことをして、それをどこまで許してくれるかで愛……自分の価値……を確かめる人。変にプライドが高いナルシストの男性によくあるタイプだと思う。もともと日本人の男性は、妻や恋人をこきおろしたりする悪習がある。「愚妻」とか。これは日本特有の現象だそうだ。岡田くんの「帰れよ」もその一種かな。
それが、バブルを境にして男女の形勢が逆転した、と。これが紫門さんの洞察だ。それは当たっていると思う。しかし、ちやほやされていい気になっている女性もいずれ年をとるし、そうなったときの男性たちの逆襲もかなりえげつない。今は、その当たりの摩擦を何とか解決するために、いろんな人が動いている時だと思う。『東京タワー』もそうだった……のかな。

紫門さんの言う、女性の三つの体質でいくと……私は、エロ体質の素質はゼロに近いな。恋愛体質も、あんまり。強いて言うと結婚体質だけど、結婚についてこと細かく言うのは、過去「あんたにまともな女性のしあわせが掴めるはずがない」と決め付けた人たちに対するルサンチマンからだ。おかげで若い頃、未来への不安と戦うのがとても辛かったので、社会に対してはその逆がしてみたい。勉強や仕事が好きな若い女性に、「それでも結婚して子供を育てて仕事して好きなことして生きていくことができる」と看板立てておく必要があると思って。私の若い頃、社会進出を果たしたのはほんのわずかの優れた女性たちだけだった。そんな人たち……桐島洋子さんなどが、妨害を覚悟でしてくれたことだ。どれだけ勇気付けられたかわからない。大きな流れになった今の時代はもうそういう看板の必要もないかも知れない。みんな元気で生き生きして、いい感じだ。
しかし、どうも岡田くんとしては、そんな女性たちとの恋愛しにくさを感じているのではないかと。「守ってあげる」対象でいて欲しいから、守る必要もないほど強くならないでほしい……なんてことじゃないといいけど。
今後、この番組がどういう方向でいくかはわからないけれど、恋愛・結婚は個人の問題でもあると同時に、未来の日本を形作るピースでもあるので、大切なテーマとして今後も取り上げてもらえると嬉しい。