『三国志って何ですか』05/12/04 渡辺精一さん

岡田くんの好きな、かつ知識が豊富な分野のお話、とあって、ずいぶん生き生きしていたような。

実を言えば、三国志には少し苦手意識があった。それは、私が、プロ野球やプロサッカーやプロ格闘技、矢沢栄吉さんや長淵剛さんが苦手なのと、まったく同じ経緯による。
その対象が苦手なのではなく、それにはまっている男性たちによくある「男ってなんてすばらしい。それに引き換え女ときたら」という意識の強さが鼻につくからだ。
もちろん、そういう現実逃避にではなく、純粋に対象が好き、という人も多いことだろう。
我がアイドルは……純粋な人だと思っていたけれど、最近よくわからなくなってきた。

それはさておき、三国志である。曹操が好き、という話だけど、日本では敵役、という位置づけが一般的だと思う。強すぎるし、頭が切れすぎるし、残酷すぎる。
最近のコミックに連載されていた『蒼天航路』は、曹操視点の話で、とても魅力的な王として描かれていた。若々しく才にあふれ野心に満ちた曹操が、年をとっていくところの描写が、それだけとても寂しい感じがしたものだ。いや、天下を取るために集まってきた魅力的な人々が、どんどん舞台から消えていく寂しさ。三国志は、物語としては本来いちばんクライマックスを迎えるべきラスト近くが、最も寂しくてみすぼらしい感じがする。人生の後半戦に多くの人が感じる諦観にちょっと響きあってしまうかも知れない。しかし、我がアイドルは、まだ若い。ぴんと来ていないところが、これまた少し寂しい。『夢は夢』で終わってしまうのは、その瞬間、瞬間にひとつずつ完結していく夢でない限り、仕方がないことかも知れない。先生は、やっぱり専門家の立場で、乱世によって才溢れ、魅力的な人物が現れても、ナンバー2が育ちにくくて衰退してしまう理由をわかりやすく説明してくださった。乱世や国単位の話ではなくても、いろんな場面で同じことが当てはまるように思う。なるほど三国志をはじめとする戦国物語はビジネスマンには通じるところがあって面白いだろう、と思う。

ちなみに、私の一番好きな武将は、言うまでもないことだが趙雲である(笑)。
容姿が美しく、またたいそう華麗に戦ったという。