ドラマ「新聞記者」発表

藤井道人監督のNetflixドラマ「新聞記者」の発表がありました。出演される横浜流星さんも、ご自身のインスタを更新されていました。日本アカデミー賞を受賞された同名の映画とは、コンセプトは同じでも別物の物語になるようです。でも絶対に面白いに決まっているので、指折り数えて待ちます。

映画版は、同監督の「ヤクザと家族」で心を撃ち抜かれた後、しばらくして配信で見ました。伊藤詩織さんの性暴力の告発を移しとったと思しきエピソードが序盤で出てきます。報道映像を見ながら報道陣が被害者女性を中傷しているのを、主人公の女性記者が「セクハラですよ」と注意するシーンがとても印象的でした。この記者の人柄がとてもよくわかるシーンです。でも、記者の矜持が人の姿をとったようなその女性が、そこから直面する日本の闇を思えば、軽い序章に過ぎません。

映画制作のキャスティングが難航した、というのは、納得です。下手すると当局からマークされかねない物語です。記者役は日本のしがらみに囚われない韓国の方に決まって、むしろそれが味わいになっていました。その裏で日本の女優で成り手がいなかった事情があると聞きました。自分のキャリアを危険にさらして監督と心中する覚悟がある人はいなかったのですね。松坂桃李さんが官僚役を引き受けたのは、それを思うと大変なことだと思いました。鬼気迫る演技も納得です。

アバランチ」見ても思ったのですが、藤井監督。やる気なんですね。力をもって他を搾取・支配する者に喧嘩を売る物語を、妥協せずに作られるのですね。Wikipediaを見たら、まだ30代の若さでいらっしゃると知って、訳もなく感動しました。応援してます。

さて、ドラマ版「新聞記者」の記者役は米倉涼子さん、官僚役(たぶん)を綾野剛さんが演じられるようです。横浜さんは、映画版では省かれた一般市民の視点として就活生を演じられる、とのことです。ちょっと緊張します。

予告映像を見る限り、映画版の記者と官僚が暴き出す闇を見てショックを受けた観客の視点を、横浜さん演じる大学生が引き受けてくれるように思います。まだ社会に出て行く前の若者が感じるのは、怖いもの知らずの闘志。そして、社会に出て行って感じる途方もない無力感。日本人がどうしてこういう政府しか持ち得なかったのか、その理由が観客に身につまされる形で突きつけられるのでしょう。

映画は、基本エンタテイメントではありますが、期せずして人生が変わるトリガーになることがあります。そんな映画に生涯何度か出会いました。伊藤詩織さんの事件もそうなんですが、社会も人生も何もかも、どうにもならない、とでもいうような倦怠感が、この世相の中で募っています。トリガー、ください。

では