ドラマ「#着飾る恋」3話〜創造者と仲介者

「着飾る恋には理由があって」第3話見ました。リアルで見た上、配信サービスで3回見ちゃいました。駿くんの、料理人にあるまじき発達しまくった広背筋や上腕二頭•三頭筋もさることながら、羽瀬さんが描いた絵とか、河口湖美術館の意匠とか、富士山のある風景とか、この回は個人的にかなり好きなものが映されていました。

キュンシーンも満載でしたね。個人的に、焚き火の前で駿くんと真柴さんが手を繋いで、お互いの顔をそっと見ながら、それでも目が合うのを照れて避ける細やかなシーンがすごいと思いました。美男美女だから余計に。

あと、真柴さんの服を買いに行った駿くんがお店の人に「どんな子のどんな服」と聞かれて、つい真柴さんの人となりを長々と説明してしまい「好きな子ね」と突っ込まれて動揺するところとか、青春かよ、と(笑)。

今回は羽瀬さんのターンでした。羽瀬さんの、人に頼れないところにシンパシーを感じます。

若い頃、立体作品で美術展に3年連続で出品して選考に2回入ったことがあります。入賞はなかったけど、審査員の内2人が私の指導教授ご夫妻だったこともあって、受賞者を選ぶシステムの裏側もちょっと分かっています。羽瀬さんは、受賞することが登竜門だと思っているようですが、それはもしかして違うのかも知れません。でも、目標にしてやって来たことが報われないのは辛いよね。死にたいほどね。

羽瀬さんが落選して落ち込んでいる時、真柴さんが声をかけに近づいた瞬間、「今話しかけちゃだめ!」と力いっぱいTV画面に叫んでしまったのは、身に覚えがあるからです。慰められるのが一番惨めで嫌なこと。そういう時は、はるちゃんみたいにコーヒーでも渡して、自分から話し出すのをじっと待って、後はただ聞いてあげるだけなのが良いです。羽瀬さんがキツい事言うのは無理ないけど、それが本心とは裏腹なんだってことも分かります。羽瀬さんは、真柴さんが大変な努力をしてインフルエンサーをしていることは分かってくれてたみたいです。でも、真柴さんの本当の価値はこれから理解することになるのでしょう。葉山社長が鰻重と平賀源内に絡めて広報の意味を説いた折、真柴さんの天性の才能にも気づいたことを暗示します。真柴さんは「仲介者」なのですね。

創造することで生きていくのは、今の日本ではとても困難なことだと思います。経済活動にうまく乗るのにハードルが高い営みはみんなそう。絵も、音楽も、演劇も、ダンスも、写真も、文芸も、陶芸も、植物のインスタレーションも。

純粋な創造者は時々ひどい誤解をします。「良いものを作れば、きっと売れる」と。でも、ゴッホもモジリアニも生きている内に売れることはありませんでした。彼等の創造物がいかに素晴らしいか「わかりやすく」広める相手に巡り会えなかったからです。ただ良いだけでは不充分なのは、それが「良い」と認識すること自体、才能がいるからだと思います。

権威ある組織によって、その「良さ」を保証してもらうのが美術展のようなオーディション形式のシステムです。完全ではない人間が選ぶのだから、結果も完全ではありません。でも、風の時代では、それをインフルエンサーが受け持つようになります。誰もが自分の心で、良いものは良い、好きなものは好き、と言っていい時代になりました。それがどんどん進行しています。インフルエンサーとは仲介者です。これ自体、誰にでもできることだとは思えません。才能が必要です。創造者に才能が必要なのと同様に。

どちらも自分を誇っていいと思うのです。

見たところ、シェアメイトの創造者は「変わり者」と呼ばれて生き辛く、仲介者は「人気者」だけどそれが時々疲れる、という図式のようですね。どちらもどうか幸せな人生を。

 

今日はここまで

では