物語考>登場人物と県民性〜「#着飾る恋」

ドラマ「#着飾る恋」を見ていて、はたと気がついたことがあります。シェアメイトたちの出身地が割とさり気なく明らかになっていることです。真柴さんは初島。駿くんは北海道。葉山さんは仙台。はるちゃんは推定京都。あと、分かっていないのは羽瀬さんと早乙女香子さんです。全国に450人しかいない超レアな「羽瀬」さんは大阪府、福岡県、栃木県に集中しています。西の訛りがないことから、推定栃木県。「早乙女」さんは、間違いなくルーツが栃木県。

旅を何度もした経験から言うと、県民性というのは明確に存在するようです。

日本一人々が親切な場所は、33県行った限りの私の印象では、ぶっちぎりダントツで北海道だと思います。道に迷っている時に「迷ってるんでしょ?地元の人間に聞かなきゃダメだよ」と自ら手を差し伸べてくれた人がいたのは唯一北海道だけでした。北海道出身者にこの話をすると、「道民らしいねえ。困ってるくせに人を頼らないやつが目障りだったんだろうね」と笑われました。ほほう。そう言えば道を教えてくれた若い男性は、お礼を言う暇もくれずにスタスタ去っていってしまって超ヒーローっぽかったです。

「道を教えてください」と言えば答えてくれる人がほとんどなのは日本どこに行ってもそうなんですが、一歩踏み込んで来てくれる人がいるのは非常にユニークなところです。そもそも、都会では他人が困ってるかどうか気がつく人も多くありません。

「#着飾る恋」の駿くんは、最後の晩餐のリストの話をしている時に、さり気なく北海道出身者だと言ったので、「ああ、そういうことなのね」と合点がいきました。真柴さんとの出会いの場で、急いでいるくせに自分より弱い人にタクシーを譲ってしまう真柴さんを、よく見てたし、ほっとけないと思った、と。すごく道民らしいです。私も含めて日本人の大半は、この駿くんの性格が「変」だと思うでしょうが、道民なら変じゃありません。

身内に北海道に嫁いだ子がいるので聴き取りするに、痛いところを悪気なく突いてくるところがしんどい時もあるけれど、言葉に裏表がないのが分かってきて慣れるととても安心する、というところも道民ぽい点のようです。まさに駿くん。羽瀬さんの妊娠疑惑に絡んでの駿くんの行動は、本当に「らしく」て好きです。

こんな北海道ですが、自己評価で自分の県が一番親切、と認識している県はまったく別で順位はそれほど高くありません。つまり、旅行者の素敵な思い出になるほど日本一気さくで優しい人たちは、自分たちが親切だとも特に思ってなくて、それが自然で普通なことなんですね。まさに駿くん。

で、片や推定京都の人のはるちゃんは、場の空気感を大切にして、心を全部人には見せないし、相手との距離を明確にとります。はるちゃんは生まれつき人に優しく接する性格だったのが、それを上手く活かしていく道を悩みながら模索してきたんだな、と思うのです。出身関係無いようであるような。その人が「いらんこと言う」時は、相手がちょっと特別の場合だけ。それも良き!

真柴さんの島育ちというのは、どうなんでしょうか。知り合いで、仕事のストレスで心を病んで、ふと気分転換に離島に旅行に行ってハマった、という女性がいます。以後まとまった休みのたびに島に行くので、行くと「おかえり」と言われるまでになったとか。実家住みなのに「帰ってきた」とくつろげるとか。島と全部一括りするのは乱暴ですが、旅行者へのゆったりした懐の深さは島ならではなのかも知れません。そう言えば、一昨年行った瀬戸内海の直島•豊島は、素晴らしいところでした。島で生まれ育った人たちの心は、どういう風に育まれてこんな感じなのでしょうか。聞けば、川口春奈さんは五島出身とのこと。キャスティングと設定の妙が楽しいと、分析癖のある私は感服する次第です。

いずれにしても、このドラマ、隠し味に色々あるので大いに楽しんでます。

 

今日はここまで

では