『宇宙』05/04/24放送 松岡均さん

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松岡均 さん
テーマ:「宇宙」
4回めに入る前にちょっと。「こころってなんですか」の回で、岡田くんが冒頭で、夏目漱石の「こころ」について触れていたので、ちょっと気持ちを見透かされたような錯覚をおぼえてどきっとした。漱石の築いたスタイルが、現在の日本文学の源泉になった、と見る人は多い。そこで、その漱石らしいスタイルが一番強く出ているとされる「こころ」を最近読んだばかりだった。心理について深く掘り下げていく洞察のすごさに、時代を超えたものを感じた。スタイルは真似られても、この洞察を越えるのは並大抵のことではない。実際、そういう人はまだ現われていないのかも知れない。
さて、岡田くんという人は、私とはあまりシンクロ率が高くないと思っていたのだけど、共通に好きなものとして、本と映画とアートの他に、星好きというのがあった。星座が全部言える、なんていう本格的な星好きではなくても、「星を見に行く」という動機付けで動けるかどうかで、星好きと非星好きは区別できる。観光地の案内に「夜は星がきれいです」なんて書かれていたら、「行ってみようかな」と気持ちが動かされるかどうか。
星と宇宙というのは、だけどイメージの中で繋がっていないことが多い。古代の人のように、高い天井にあいた小さな穴だと言われたら、気力が落ちている時など「ああそうなのか」と瞬間納得してしまいそうだ。「宇宙」ってことを考える時間というのが人生の割合としてとても高い人がいたとする。その人の自我は宇宙全体に拡大して投影されているとする。それって、ほとんど神の視点だなぁ、と思う。宇宙を研究する人には優しい人が多い、と岡田くんは言う。ファンを長いことやっていて馴れっこになっているはずなのに、時々我がアイドルのそういうフラッシュのような直観にどきっとすることが、今でもよくある。言われてみると、宇宙飛行士で悪相をしている人、というのを、たったのひとりも見たことがない! 何か、宇宙を思うことは、人を一段高いレベルに連れて行ってくれる何かなのかも知れない。
宇宙のお話だけど、知識としてはほとんど私も本を読んで知っていることばかりだった。だけど、わからないことがわかると、わからないことがそれよりもっと増える、という先生のコメント、これがこころに強く残った。人間が何かを知って行く、ということの不思議さがここに集約されている気がする。
先生の「恋愛物語展」のお話が聞けるものだとばかり思っていた。だけど、宇宙と恋は私の中で繋がっている。宇宙を考えることは、何億年という長い時と、気が遠くなるほど広い空間と、その中に奇跡のように浮かぶいのちの星を思うことだ。恋がそこで特別な意味を持つように思う。なんだか、自分でも気が付かずに、そんなことばかり今まで書いてきたような気がする。というわけで、久々に宇宙の話をうかがって、また気持ちが新たになって嬉しかった。
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