タイガー&ドラゴン

帰りが遅くてなかなか時間が取れないけれど、タイガー&ドラゴンのDVDは見ている。話題にはなっても、リアルタイムでの視聴率には恵まれないと言われる宮藤ドラマの中で、はじめてのヒットと言われるとか。あらためてDVDで見てみると、本当によくできたドラマだと感心する。個人的には、「ものづくり」をする人間の抱えている様々な問題を、「はてしない物語」のような入れ子になった構造で見せてもらったところが、本当にポイント高くて、引き込まれるものがあった。ただ、その分だけ、老いて去っていく人間と、若くてこれからという人間の対比が、けっこうシビアだと思った。師匠も組長も、回を追うごとに地位や名誉、経済力が目に見えて低下していく。ふたりの没落の理由は、理想主義的だったせいだと、今はっきりとわかった。優しさがない本だとは思わないんだけど、「木更津」と「死」のセットより、むしろ救いがない気がしたのは、自分がそういう年齢にあるからかも知れない。10代20代の短い間だけ許される女性のセクシャルな魅力に、年を重ねても執着する女性……こういう登場人物に対する書き方も、時とともに残酷になっている気がする。
それと、竜二が、落語の世界では疎外され、「ドラゴンソーダ」の中だけでは疎外されない、という構図も少し考えてしまった。才能があるから、その道でうまくやっていける、という問題ではないみたいだ。自分を凌駕する若い才能を、果たして人は受け入れられるものなのか……。本来、きちんと評価されるべき、人間の資質や人柄が、正しく評価されない人間の世界……それは落語の物語の世界とどこかリンクしているのだろうか。現代の方が、お金が力を持ち過ぎている気もする。その意味で、竜二というのは、ともかく変化球を多く要求される役で大変だったと思う。……つづく