派遣の労災のニュースを読んで

さっき、08年の派遣の労災が07年に続いて5000人を超えた、とニュースを読んだ。
派遣切りが進んで、母数が激減しても、労災の数がまったく減らないというのは……。
何かが見えた気がして、とても嫌な気分になった。

思い出すなあ。
私がまだ駆け出しだった頃、職人の方が健康診断をしないで作文した上、働いていたところ、
ちょっとした労災にあって、検査したら、なんと結核なのがわかって、
健診を偽っていたのがばれてしまった。
こういうことは、あの頃たくさんあったと思う。
そうしたら、本社の社員たちが戦々恐々としていろいろ工作をはじめた。
私ともう二人の女性社員に言い渡されたのが、タイムカードを10時前に押すことだった。
「ほら、労基に踏み込まれたときに、やばいでショ?」と目をくりくりさせながら言うんだな、これが。
こいつ、自分が何を言っているか、わかってんだろうな、と疑問に思ったけど、わかってるはずないな。
その時、この会社には残業代というものがなくて、ただ10時を過ぎた労働に対しては深夜手当てがついた。
深夜まで働いても、女子社員だけはすべてサービス残業になったので、同期の男性社員とは20パーセントくらい賃金の格差が開いた。
これは社員同士の自治でやっていて、社長はこういうところまで目を光らせることができなかった。
抗議すると嫌がらせが待ってるのはわかっているので、仕方なく従う。
黙って働いて、節約して、勉強して、未来のために力を蓄える、っと。
まだあの頃は、正義とか、真実とか、未来とかを信じていたから。
それでも、申し訳ないと思ったのか、専務がある時唐突に、「給料は少ないかも知れないけど、男と差がなくなると、やつらの勤労意欲がなくなっちゃうからねえ」と言うんだな。
私の勤労意欲はなくならないとでも?。
あの頃に比較すると、今は信じられないくらいましに感じるが、先進諸国の中では、日本はまだ最下位近くのレベルだとか。
こつこつと頑張らねば。

女性が懸命に働いても、男性と比較して、昇進や昇給のような目に見える形の「ごほうび」がないので、
せめて自分にごほうびをあげよう、というのが、「自分にごほうび」というフレーズ発端だったと思う。
できれば、やればやっただけの報酬が期待できる立場の人には、冗談でも使って欲しくないと思う。
我がアイドルが自虐ネタっぽく使っているのを見た時には(しかも三回も)、血の気が引いた。
悪い友達(作家)を信奉しているせいだ、と人のせいにしたいけど、言葉のセンスがないのは、本人の責任だと思う。

話がそれた。
非人道的な労働というのは、振り返ってそうわかることであって、当事者はわからないことなのかも知れない。
加害側も、被害者も。
できれば、どちらの立場にも立ちたくないな、と思っている。