映画「嘘喰い」2回目鑑賞

1回目の鑑賞から、1週間おいて20日に2回目を見て来ました。映画「嘘喰い」。何だかとても混んでいました。

さて、初回では鑑賞後に、ギャンブルについての進化人類学的な疑問がたくさん湧き起こってきたものでした。人類はなぜ賭けるのか、というやつです。それもあって、横浜流星さんがリスペクトした、という原作のコミックを7巻まで一気に読んでみました。なんだ、コミックにはすべて答えが書いてあるじゃないですか。ギャンブルには生物としての生存本能が根にあるし、その本質は暴力、と。もちろん、作者にとっての答えに過ぎない、という見方もあるでしょうが、説得力が半端ないですね。「負ければすべて失った上、死」の戦国時代が130年以上続いて、関ヶ原でようやく終結させられた歴史を考察するに、それが真実なのかも知れません。個人的にはすっきりと受け入れられない部分はあったのですが、だんだんと原作を愛する人たちの気持ちがわかり始めて来ました。

それと同時に、主人公 斑目貘のカリスマ性に惹かれる気持ちもわかって来ました。この人はきっととんでもなく高い所からの景色が見えていると感じるのですね。そんな難しい役のはずなのに、横浜流星さんの再現性の高さに改めて驚きました。貘そのものじゃないですか。いえね、「私たちはどうかしている」や「初めて恋をした日に読む話」等のコミックのドラマ化で、横浜さんの凄い再現力を目撃して、その力量は十分理解していたはずでした。その上でまた驚いてしまうなんて、この沼はやっぱり底無しなのですね。

惜しむらくは、映画化への色々な制約のためか、納得いかない改変が多々あったことです。一番はラブ要素を加えた事です。蛇の絵に足を描き加えられた気持ちって、これですね。あと、脱出ゲームが廃ビルから森になったり、佐田国がテロリストからサイエンティストになったり。このあたりは、事情が何となく想像がつくので許容できました。でもラブは駄目。

まあ、改変以前に、物語全体の半分にも満たないエピソードしか描けていません。これは、元々Netflixで6〜10話くらいでドラマ化するのが相応しい作品だと思いました。素晴らしいものができると思います。脚本には原作者の意向をきっちり盛り込んで。間違っても貘にハーモニカを吹かせないように。キャストは、貘と梶くん、夜行さん、佐田国さん、お屋形様は固定で。何なら私が製作費出しましょうか?1話10億として100億くらい?よしっ!横浜流星に100億はった! なんてね。お金さえあれば、こんな夢も現実にするのは訳のないことです。普通に生きていては、そんなお金を持つのは不可能なので、超ハイリスク超ハイリターンのギャンブルに向かう人の気持ちは少し分かります。

嘘喰い」の世界はフィクションではありますが、そこに渦巻く感情や理念は決して絵空事ではないと感じました。むしろ、人生はすべて選択の連続ーー賭けなので、程度の差はあれ、心が追い詰められた経験が誰でも一度はあるはずです。それを抽出・結晶化させた「すべての人に理屈抜きで理解できる」物語なのだと思いました。続きが見たいと思います。

まとまらなくなって来ましたが、2回目鑑賞の感想はこの辺りで終わりにします。

では