映画「嘘喰い」見ました

昨日の、舞台挨拶中継付きの映画「嘘喰い」見てきました。鑑賞後の舞台挨拶だったので、ネタバレ有りでとても楽しく拝見させていただきました。「真犯人フラグ」ネタまで飛び出して来るなんて、台本の無いトークは楽しいものですね。

推し活の一環としての鑑賞なので、マイルールとして原作は見ずに前知識無しで初鑑賞に臨みました。「嘘喰い」というタイトルで想像していたのは、米ドラマ「ライ・トゥー・ミー」の様な、超高度な表情読みによって対戦相手の嘘を見破るギャンブラー像でした。でも、主人公の獏の能力は、もっと俯瞰して物事を観察して真実を導き出す力でした。ギャンブルの過程で、負けを積んで場を支配している「嘘」を暴いていく手法が、とてもスリリングでした。勝ち負けで一喜一憂しそうな私なぞは、逆立ちしてもその境地には行けそうもありません。獏に感情移入するのはなかなか困難でした。その分、バディとして見守っている梶くんにはまんまと感情移入しました。獏のお陰で大金掴んだ梶くんが、豪遊して最後に物足りなく思うところは、可愛かったですねえ。生まれて初めて出会ったスリルは、豪遊よりも素敵。分かります。

鑑賞後、脳内上映会をずっと繰り返しているのですが、際立って繰り返されるのはやっぱり「あんた嘘つきだね」「俺があんたの嘘、食ってやるよ」の決め台詞のシーンと、カリカリ梅を齧るところです。梅のシーンでは、回を追う毎に「来た来たっ!」と心が躍りました。

それでも、横浜流星さん演じる獏が最も美しく見えるのは、バディの梶くんや、蘭子さん他、他者に普通に気持ちを向けている瞬間だというのが、この主人公の際立った特質だと思いました。

元々キャスト全体濃かったのが個人的に非常に面白く感じました。破滅をも予想されるギャンブルの世界に身を置く人格を、それぞれカリカチュアライズしているように思います。動揺=弱みを相手に悟られない様にしている内に、常に無表情や固まった微表情になってしまったり。人の生死に不感症だったり。個人的には、佐田国を演じられた三浦翔平さんの、マッドサイエンティストな賭け師っぷりが、様式美すら感じて好きでした。

その中で、圧倒的な強さを誇るとは言え、負けたら即死の状況に何度も立ち向かいつつ、平常心や人間味を保ち続けている獏が唯一無二の存在に見えるのです。

そもそも、どうして有史以来賭けにのめり込む人が一定数いるのでしょう。人生そのものが賭けなのに、わざわざルールを設定してまで賭けを作って埋没する理由は何なのでしょう。

賭けに限らず、個人や社会の存続に直接関わりのない事柄に、生死をかけるほどのめり込む者が絶えないのは、どういう理由からでしょう。

ここまで突き詰めたギャンブルの物語が生まれて、たくさんの人に愛されるのはそんな「人類という生物の秘密」の現れだと感じて、興味は尽きません。

ところで、横浜さんが舞台挨拶で、SNSで感想を必ず書いて欲しいと言われていました。更にご自身のインスタに、ハッシュタグで「全て受け止めます」と書かれていて、それを見て、この映画に関しては、満足はしてらっしゃらないのかな、と憶測してしまいました。映画を見る数日前に、ふと「いなくなれ、群青」を見て、全く台詞のない場面での横浜さんの表現力の凄さに惚れ惚れしていたせいです。今回、繊細さとは対極の大胆さもリアルに演じられることが証明されたのは、視聴者には嬉しいことでした。まあ、今の段階で俳優横浜流星の演技力に文句をつける人は、いるとも思えないんですけど。映画全体について、マニアックに分析したり評価したりするのは、能力の高い方達にお任せします。私は楽しんだので、不満はありません。

以上、感想でした。

では