表現者>V6〜「CDTV」「学校へ行こう」

V6最後の生の歌番組と、生のバラエティが、とうとう終わってしまいました。少し脱力感に囚われています。本当に終わるんだなと、急に実感が湧いてきました。

今年の3月、V6の解散が発表になるまでは、V6は、他の先輩ユニットと同じように「名前」だけ残して「かたち」としてはゆっくりフェードアウトしていくんだと思い込んでいました。素人目には、芸能界での仕事について、ジャニーズ事務所でできないことはないと思っていたからです。歌もダンスも舞台も役者もバラエティも、全部できています。力のあるプロダクションであればこそ、獲って来れるチャンスも、きっとたくさんあるんだろうとも思いました。アイドルへの世間での偏見が完全に無くなったとは思いませんが、ずいぶん薄れつつあります。メンバーが納得いく仕事が日々できるなら、ユニットとしての「実」がなくとも、それでいいと思いました。それが皆んなの幸せに繋がるなら。

でも、私も職場を変える経験を何度もしたので分かるのですが、たとえ職種が完全に同じでも、その場の空気・カラーが同じである事はありません。場ごとにひとつひとつ異なります。人間が多様なように、場も多様なのです。ポイントはそこかも知れません。人と人の間の相性があるように、人と場の相性も厳然としてあります。最悪の相性だったら、V6も26年も(個人としてはそれ以上)続かなかったでしょう。でも、組み合わせを変えて、自分も変化していくのは悪いことではありません。

ジャニーズ事務所には良いところがたくさんあります。まだ海のものとも山のものともわからない少年が選ばれて育てられてスターになっていく方式は、独特なものだと思います。皆さん、総じて音楽とダンスの基礎があって、心身を作り上げて、それがあらゆるジャンルの芸能活動をしっかりと支えています。エンタテイメント先進国のアメリカ方式です。事務所ごと、もっともっと評価されていいと強く思います。

ただ、良い悪いとは無関係にやっぱりカラーはあります。事務所の思想とか。職場に限らず、学校も家庭もそうですが、外から内を護る枠は同時に、内を縛る枷でもあります。鳥籠のような。強固に護られるほど、枷もきついのは、どうやらお約束のようです。そのせいで本当にやりたい事ができないなら、退所という選択肢は有りだと思います。森田剛さんの退所の理由は、関係者だけが分かっていれば良い事ですし、ここまでの流れを見て喧嘩別れじゃないのは理解しています。念のため。その上でも、過去ユニットの人たちを見ると、どんな選択であれリスクを伴う賭けには変わりないんだと思いました。

リスクを無視する軽い人だったら、不安しかありませんが、森田さんは大丈夫でしょう。長年のファンは皆んなそう思っています。ずいぶん昔に、森田さんに「スタイル」が見えない、と書いた事があります。余計なお世話だとは思いましたが、あの時はなぜか言わずにいられなかったのです。要領よく場に同調できない人だと感じて、そこがとても好きで、でも心配が募って。今は何だか、関わるもの全てが良い方向を向いて着実に進んでいくような、そんな予感がします。

次はいよいよ、ラストライブですね。ちゃんと見届けます。泣かずに笑って見送ろうと思うのですが、さてどうなるでしょう。

では