表現者>左利きの俳優について

今期ドラマはまだ1〜2話スタートしたばかりですが、「アバランチ」と「最愛」は溜めずに見ることに決めました。推しゆかりの監督・俳優さん繋がりってことで。しかも、サスペンス・ストーリーなので、どうしても見ちゃいます。どちらも好きなジャンルの物語ながら、画面から受ける雰囲気がまったく異なって被らないのが、個人的にもとても気に入っています。

藤井監督の、セピアカラーに薄く色を乗せたような絵、かなり心に来ます。過去に心をやられるたびに見えた風景に似ているからです。世界は色でいっぱいだ、と感じるほどに回復しても、あの風景は忘れられないものです。しかも、横浜市の福富町が映し出されたりするから、余計に感じ入るものがありました。横浜市中区は、映画「天国と地獄」の舞台になった場所で、山手の超高級住宅地とかつて貧民窟だった下町とが、距離的に近い位置にあります。土地の高低差がそのまま貧富の差になっている土地柄、富者と貧者がお互い見下ろし見上げて暮らしていたのが物語の発端です。監督のロケ地選び、好きです。

対して、野山の緑は、メンタルへの治癒効果があるそうです。「最愛」の、岐阜県白川郷と、人工物で埋まった東京とが交互に映し出される絵も、何かそれだけで物語の背景で別に進行している小さな物語を感じてしまいます。

 

さて、本題です。

今回すごく言いたかったこと。「燃えよ剣」で斎藤一を演じられた松下洸平さんですが、本当に左利きでいらっしゃるのですね。ちょっと混乱。師範が殺陣について語っているのを読んで、史実の斎藤一が左利きだと解釈したのですが、それは松下さんが左利きだという話だったのでしょうか。

(確認してきました。斎藤一が左利きなので、原田監督がリアリティをもたせるために松下さんを抜擢されたとのことです)

食事シーンでお箸やスプーンを使っているところを真正面から映したシーンで、「あ!この人、左利きだ!」と気が付いた瞬間、なぜかとても慕わしい気持ちになります。ずいぶん前からそうです。「最愛」の主演の吉高由里子さんも、小栗旬さん、松坂桃李さんも左利きで、ご飯を食べてるシーンで「やられて」しまった経緯があります。製作者はひょっとして、狙ってわざと分かりやすい食事シーンを撮ってませんか?

なぜでしょう。なぜ左利きの人の食事シーンにキュンとなるんでしょう。ずっと不思議だったのです。鏡を見ているみたいだから? 左利きの俳優さんたちは、こうやってみると確かに親しみというか、「身近だけど特別」という感じが強いですね。

そもそも、人類の9割は、なぜ右利きなのかという謎の解明が必要です。武道・格闘技などは、右利き同士の対戦がデフォルトになるから、左利きはうまく使うと有利になるはず。相手が読めない攻撃ができる可能性が高くなるからです。分からないですが。「燃えよ剣」の殺陣を考えた師範に、この辺りをいずれじっくり語って欲しいと思います。

それで思い出すのですが、50年前の小学生時代、左利きの子が右手で書いたり食べたりしようと苦労して(させられて?追い込まれて?)いたのを、よく見かけました。人口の1割もいるのに、その差別は良くないですね。今の学校はどうなんでしょう。

また、電車の改札口で苦労するなんて話も聞いて、この世のありとあらゆる物が、右利き用にできていることも、最近気がつきました(遅っ)。おいっ!人口の1割は無視かいっ? 素晴らしく魅力的な俳優さんたちが、普通に左利きをアピールされて、「社会はこのままではいけない」と改善する潮流が起こると、最高ですね。大袈裟かな。

以上、思いつくままの徒然でした。

では