エッセイ>選択的夫婦別姓のこと

V6解散の後遺症は、まだ癒えておりません。あてもなく「V6」キーワードで検索をかけてしまう毎日です。そんな中、ラストコンサートやAmazon primeで、V6の真の魅力に目覚めてファンになった方達の声が、とても慰めになっています。古い映画を見て、ゲーリー・クーパーオードリー・ヘップバーンのファンになるのも「有り」な時代です。V6の作品群の豊かさに、これからたくさんの人が心を掴まれるのを想像すると、胸がいっぱいになります。ありがたいことです。ましてや、これから個人の活躍が充分期待できるし、リアルタイムでファンでいられた思い出があるのだから、これ以上の贅沢は言いますまい。

ところで、森田剛さんが解散の翌日、ご夫妻で新しい事務所を立ち上げられたと聞きました。新しいお仕事のニュースが得られるかと期待して、ずっとチェックしています。ホームページはまだ無し、と。その代わり、森田さんの姓が変わった、という、どうでもいいニュースが引っ掛かりました。ただ、「婿養子になった」という言葉は事実とは異なるので気になります。

Wikipediaによれば、「婿養子とは、養子縁組と同時に養親の娘と婚姻を行う養子縁組の一形態、またその養男子。」となっています。

失礼ながら、宮沢りえさんの親御さまは既に亡くなられたとうかがいました。従って、森田さんが養子になった訳でも「家を継いだ」訳でもないので、今後は、こうした誤った報道の無いように願います。「夫婦同姓」の法の下、ご夫婦で話し合われて森田さんの改姓と決められただけでは? その内容は他人が関わってはいけないプライバシーの領域だと思います。

ここから今日の本題です。

最近、選択的夫婦別姓の話題が熱くなっています。結婚する時に、どちらかが改姓して夫婦同姓とする、という法の元で、96%の夫婦は女性が改姓します。別に、妻は義両親の養子になるわけではありませんが、その家の子になると見做されます。花嫁衣装の白無垢は死に装束を表しています。妻となる女性が、生家で死に、婚家で生まれ直す儀式です。儀式が必要なのは、それが自然な心情に逆らっているからです。

そうした、夫婦のどちらかが主で、もう一方が従だとする構造をいつまでも残しておくのは、これからの時代に良くないと思います。バツ2の私だから、これは頭だけで考えた論ではありません。

私の生まれた頃は、女はいずれ結婚して姓が変わるんだから、という発想で名前をつける家がほとんどだったと思います。私の場合、フルネームがどうにも発音しにくく、字画のバランスも悪かったので、正直自分の姓が嫌いでした。

姓名一体で座りのいい美しい名前は兄1人。姉妹3人は何か変。姓名一体の美しい名前に変えられる未来に姉妹して期待しました。

ところが、一度目の結婚の時、結婚相手の姓にすると更に更にダサくなってしまいました。これなら旧姓のままの方がまし。でも、どんなに嫌でも法がそうなっているのだから我慢するしかありませんでした。手続きの煩雑さや仕事での不利益に悩まされつつも、「そういうもの」と諦めました。

離婚して、二度目の相手からプロポーズされた時には、既に結婚には懲り懲りしていたし、人として好きではあっても恋愛感情は持てない相手でした。何とか逃げ切ろうと頑張ったのですが、根負けして押し切られてしまいました。そんな具合でなし崩しに相手の姓に母子して変えました。私のフルネームはまあまあでしたが、娘は新しい姓でまるで駄洒落のようになってしまいました。これを学校でからかわれて何度も泣いて帰ってきたし、今日まで自己紹介のたびに相手がいちいちリアクションするのがウザいようです。嫌だったら、家裁に申し立てて姓を変えても良いんだよ、と言ったのですが、相手の人間性を知るリトマス試験紙になるからいい、との事です。

2度めの離婚の後、旧姓には戻らず2度めの相手の姓に継続することにしました。改姓の面倒な手続きをするのも疲れたし、娘がそれまで築いて来た人間関係に悪い影響が出るのも避けたいと思いました。

離婚後も姓を変えずにいることで、よく誤解されることがあります。別れた夫をまだ愛しているのだろう、いずれ復縁したいと思っているのだろう、と。言う人はほぼ男性です。まあまあ不快です。相手には言わないですけどね。

元夫とは結婚直前まで相手の姓を知らなかったネット交際だったのもあって、姓にあまりアイデンティティを感じません。ただの記号です。だから、この手の誤解に不思議な感覚をおぼえます。妻が夫の姓を名乗るのは、夫への愛の証だと受け止められているってこと? 暮らしは、愛だけで構成されていないのに。

こうした経緯があるので、何としてでも、選択的夫婦別姓になって欲しいと思うのです。娘がその問題に直面する前までには何とか。もともとが「選択的」です。自分が同姓にしたいのは妨げられません。他人のうちには口を出さない。どうしてそれがダメなのでしょう。

男性には関係ないし、従って興味もないことでしょう。女性でも、結婚、離婚、再婚の全くない人生なら問題を感じないことでしょう。でも、夫婦同姓の法には、それぞれの人間の人生を、盆栽のようにたわめる威力があります。意味のない拘束具からは、解放されたいと思います。

今日はここまで

では