岡田准一さんと時代劇

岡田さんが時代劇にいいタイミングで出演し続けていることや、評価が非常に高いことなど、応援する身としてもとても嬉しい。

それ以上に、出演作の中でも、時代劇、というか歴史性の強い映画やドラマは、特別な思いで観ている。

立ち上げたばかりのホームページで、自分の子供の頃見た時代劇の映画について唐突に書いたことがある。

「何で私、こんなこと書いてんだろ」と思いながら。

それは、一言で言えば「人がただひたすら美しく死ぬ」という映画だった。親にただ連れられて、前知識もなく見て非常に退屈したのに、不思議に場面のいくつかを鮮明に覚えている。

この歳になって、城めぐりもし、戦国時代の知識も積み重なって、ようやくあれは落ち武者狩りの物語だったのでは?と思い当たった。

謎は解けかけたものの、一体なぜ応援ページに脈絡もなくそんなことを書いたのか、そっちの方が問題だ。自分で自分がわからない。

少なくとも、岡田さんは10代の少年の時から既に、私から埋もれていた記憶を引き出す何かがあった。

私の子供の頃作られた時代劇の多くは、戦争体験への包帯のようなものであったと思う。日本人のほとんどが、心が完全に壊れてもおかしくないような数多の酷い体験をした。心が血を流してるんだから、包帯が必要だ。

武者たちが闘いに敗れ、再興を誓って散り散りに逃げるのを、一人また一人と狩られていく、だけどその死は美しかった・・・そんな物語を必要とした50年前の人々の心を想う。

そんな親たちに何もしてあげられなかった子の身としては、せめて粛々とその「傷」の存在だけは次に伝えたい。

何もなかったことにはしたくない。

伝えたいことは他にもきっとたくさんあって、文の中に混じってしまったに違いない。

そんな想いを叶えてくれる稀有な才能を持った役者に出会ってしまったんだな。

ところで、最新の映画「燃えよ剣」はクランクアップとなったようだ。楽しみでならない。岡田さんの土方歳三かあ。素晴らしいのは疑いようもない。昨年の夏、函館五稜郭を訪れたのも自分自身、何か縁を感じる。

未来の希望がこうやって、ひとつひとつ、道しるべのように敷かれていくこと、幸せに思っている

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