映画「リスペクト」観ました。

今年の映画の日、選んだのは、アレサ・フランクリンの伝記的映画「リスペクト」でした。

以前、推しの結婚の話に絡めて、「シンガーは、『歌うために生まれてきた』『歌わないと死ぬ』みたいな人が好き」と書いたことがあるのですが、瞬間、頭の中にパッと浮かんでいたのは、アレサ・フランクリンでした。20代でマイケル・ジャクソンにハマって、例によって少しでも関連があるものを手当たり次第調べまくっていた頃、アルバム「Freeway of Love」で沼に落ちたのです。何てあったかくて力強い声。圧倒的なフィーリング。そんな訳で、映画の予告が流れてきた時から心待ちにしていました。結論。魂抜かれるほど歌に圧倒されました。

劇中、何度か泣きそうになりました。客の中に、何人か泣いている人もいました。歌で泣く体験って、そんなに多くないので貴重です。

信仰から出発し、栄光を掴んで、その栄光の強迫観念によって破滅して、やがて信仰に還って復活する。一行で言うと、そんな物語です。無宗教の身には共感が難しい事です。それでも、ラスト近く、教会でアレサが歌う「Amazing Grace」は、おそらく無宗教の者にも魂の救済のリアルを実感させる力があるかと思います。

同じように過去ハマったビリー・ホリデーもそうなのですが、アメリカの被差別カテゴリーである黒人の内、更なる被差別カテゴリーの女性の中から、輝くばかりの才能でトップまで登り詰めるスターがいることが、物語としてまずワクワクします。そんなサクセスストーリーを現実として可能にするアメリカは、どれだけ問題が多かろうとやっぱりすごいと思うのです。

ただ、物語として描くと、栄光がその被差別の悲惨さをより鮮明にします。親やパートナーのDVの凄まじさは言うに及ばず、成功してもなお差別から完全には自由になれないのが、見ていてとても辛く感じました。歌をただ楽しんで聴いてる真っ新なところから、歌の成り立ちを知って深みを理解するのは、得難い体験ではありますが。とりあえず、知ろうとする気持ちは持ち続けます。大好きなアーチストたちが生涯戦ったものは、やっぱり知りたいと思うのです。

歌の好きな方、特にブラックミュージックの好きな方、必見です。お勧めします。

では