『どうすれば中国とうまくやっていけますか』06/02/12 富坂聡さん

「足を踏んだ方が、『もういいじゃん』と言うのは」おかしい」という意見は、日本人の大勢を占めている感じ方だと思う。
それは、たぶん、「自分が踏んだわけではないけど、親や祖父たちが失礼しました」と言えてしまう人間がほとんどになったからだろう、と私は思う。
だけど、ひとたび戦争となれば、家や田畑の破壊、略奪、殺戮、強姦、奴隷化などは当然だ。
なぜなら、「それが戦争」だからだ。歴史の本を読めば読むほど、私はどうしてもそう思う。
そうでない戦争が、どこにあるのだろう。
戦争をはじめることを決断する者が、それをまったく知らない、ということはないと思う。
自分たちがその脅威にさらされることも、自分たちの兵士が相手に何をやるかも。
それでも決断する。はじめる。
日本が第二次世界大戦をはじめる決意をしたのは、植民地化されることに抵抗したからではなかったのだろうか。
私はそういう認識でいた。
もちろん、私は、日本が戦時中に周辺の国に対してやったことが良いことだとか、当たり前のことだとか、仕方がない、と言いたいのではない。

ただ、日本人の多くは、戦時中、アメリカに負けたら、自分たちが「そういう目」に合うのだと信じ切って、死に物狂いで戦ったはずだ。
アメリカでは、戦争当時、日本人だけが敵性国人として、財産を没収されて収容所に入れられた。
アメリカで生まれたアメリカ人であるはずの二世もだ。
その補償運動も、生きている人が少なくなってきて、運動としては風前の灯だそうだ。
沖縄では小学生がアメリカ兵から強姦されるような事件が時々起こる。
これは、アメリカの基地がある国の中でも、日本がダントツに多いそうだ。
でも、アメリカけしからん、償え、という声は、大きくはならない。
また、大陸に植民していた日本人を、敗戦間際に宣戦布告したロシアが、散々強姦、殺戮、略奪を繰り返したわけだが、もちろん、償え、という声は上げられない。
声が上げられ、相手が良心の痛みに苛まれるところと、まったく問題にならないところがある。
戦争というものは、まったく同じような地獄を展開するものであるにも関わらず、その後の展開がここまで違う。
足を踏んだものが、「自分は踏んだつもりはない、そんな覚えはない」と言うシチュエーションもある。
このふたつにはさまれて、「日本大嫌い」と言われ続けて、反省を続ける日本て・・・・・・。
時々、それが悲しくなる。

唯一の希望は、個人同士がゆっくり仲良くなっていくこと。
これしかない気がするんだけど、私は甘いだろうか。

ほとんど番組の感想になっていないけど。