『ネバーランド』DVD

映画雑誌を立ち読みしたところ、『ソウ』と『パイレーツ・オブ・カリビアン』の続編が目白押しだとあった。基本的に、続編は最初の一本を超えられないものだと思っているけれど、例外がないこともない。『エイリアン』や『ターミネーター』などはそうだ。それはどうしてだろう、と考えてみた。
制作者の言葉などを慎重に読むと、公開されるまでは誰もこんなにヒットするとは想像していなかった、ということがひとつ共通点としてあるように思う。もちろん、期待されていなかった、ということは、制作費もそんなにたくさんは集まらなかった、ということだろう。それが思いがけない大ヒットとなったので、続編は、制作費に余裕ができた。しかも、一作目のファンが見にくるとなれば、説明的なシーンはぐっと押さえられるから、濃密な物語にできる。……一作目をしのぐものになった理由はそんなところだろうか。
『ソウ』の方はとても劇場で見る勇気はないけれど、『パイレーツ~』の方は,今から楽しみでならない。一作目以上の楽しさだという確かな予感がする。ジョニー・デップは、今が一番脂ののった時期だと思うし。
今年のはじめ公開されていた、この『ネバーランド』も、そんなジョニー・デップが主演である。『ピーターパン』の生みの親、ジェームズ・パリの物語。『不思議の国のアリス』も、アリス・リデルという少女がモデルだったという。しかし、ピーター・パンにもモデルがいたとは知らなかった。一刻も早く大人になろうとするピーターという少年を、永遠に大人にならない少年にした発想は、こういうものだったろうか。そんなことを思わせる物語である。大切な少年時代を、できる限り早く切り上げさせようとする周囲や本人がいたとしたら、そっちの理由の方は確かに納得がいく。筋道立てられて、納得いってしまう、ということは、人間という生物の特性を考えると、もうそれだけで何かとても歪んだことなのかも知れない。実際、「その時には理由がわからないけれど」後になってわかることは多い。
もし、痛ましい感じがするほどに大人になるのを急いでいる子供を見たら、『ピーター・パン』を読んで聞かせてあげよう。大人の中に眠っている幼心も呼び覚ませるといい。少年ピーターが「あなたがピーター・パンのモデルなのね」と言われて、ジャームズ・バリをさして、「彼がピーター・パンです」と言うシーンが象徴的で、一番好きだった。