「不倫」について その1

さてさて、2016年はスタートから、ニュースと言えば芸能界のスキャンダルばかり。

そこで、私もいろいろ思うことがあって、これを書くことにした。

私が一回目の結婚生活にピリオドを打ったのは、25年前の早春の頃だった。

私から見たら、私をいぶし出すための嫌がらせをしているとしか見えなかった結婚相手は、別れ話を切り出すと、ひどく狼狽して、「何が理由だ、言ってみろ」と言ったもんだった。

そうか、辛く当たった自覚も、私がそれに傷ついていたことについての想像も、皆無というわけね。

そこで、淡々と、別れたい理由を述べた。

一番ひどかったのは、出産時の仕打ちの数々だった。

子供を出産して、退院してきた日に、元夫から洗濯を命令されて、「干すのだけは代わって」と頼んだら、「男が干してるところを人に見られたら、何と言われると思う」と怒鳴られて、無理して干していたら、縫合がはじけて、おまけに死ぬかと思うほどの大出血までして、新生児の娘と一緒に緊急入院したこと。

その入院の間、一回も見舞いに来ず、ずっと友達の家に泊まっていたこと。

その入院から再び退院してきた日に、「子供のお披露目」と称して、友達を何人か連れてきて、私に立ち詰めで料理を作らせたこと。

元夫の友人たちは、さすがに「奥さん、寝てなきゃ駄目なんじゃないですか?」と心配そうに言ってくれたけど、元夫の「いーんだ、いーんだ、動いていた方が元に戻るのが早いんだぜ」の言葉で黙ってしまったこと。

その直後、リウマチを発症してエスカレートした、今でも時々悪夢に見るDVの数々。

離婚の理由としては十分だと思うのだが、夫は「急に言い出すなんて、何かあったんじゃないか」「自分は離婚される落ち度は何もない」の一点張りだった。

これ以上の話合いは時間の無駄だと思い、さっさと引っ越して、その一ヶ月後、離婚届を持って訪れ、サインと捺印をしてもらった。

問題はその後だ。

私が仕事をもらう予定だった会社は、元夫の会社でもあったわけだが、そのトラブルの上でも仕事をもらえるように、上司筋の人たちに一人一人会って根回しを頑張った。

しかし、何を考えたか、私の仕事の窓口を、何と元夫にフィックスされてしまった。

バブルの受注残が山積している中で、それでも仕事は一度も来なかった。

電話で、他の人にいくら「仕事をください」と直訴しても「よりを戻したらぁ?」と馬鹿にしたような口調の返事が返ってくるだけ。

後で聞いた話だと、元夫が「どうやら他に男がいるらしい」と言ってまわっていたそうな。

それと、「慰謝料、財産分与、養育費、すべていらないと言われた」とも。もちろんそんなことは一言も言ってない。

嘘のつけない人だと思っていたけど、妻に去られるショックは、その人にすらこんな醜い嘘をつかせるようだ。

血を分けた娘の暮らしや未来だってかかっているのに。

そうか、自分のメンツを保つためなら、男というのはそこまでやる生物なのか。

他の男どもも、そんな醜いことに同調して、醜い言動をして恥じず、それでも女より優れた存在だと、自負できる生物なのか。しあわせな生き物だのぉ。

よーくわかった。

・・・とその時は思ったけど、これは男女の「違い」というのではないな。その時々の、「流れ」
なんだと、今は思う。女の人も、きっと同じ醜いことをする。というかしてるところを何度か見た。

というわけで、不倫疑惑なるものが芸能ニュースになるたび、もやもやする。

伴侶をふしあわせにする原因が、まさしく自分、というやつが、何を偉そうに人権を主張するか、という話だな。

「悪法も法」とソクラテスは言った。

わかってるんだけど、わかってるんだけど、もやもや、くさくさ、する。

ともかく、自分が幸せになるために、他者の犠牲を必要とする方は、ゆっくりとでいいから絶滅してくださいね、とだけ。

それから、我がアイドルに告ぐ。

どうか、しあわせになっておくれ。

あなたのしあわせは、あなただけのしあわせじゃない。

あなたがしあわせじゃなきゃ、しあわせじゃない者が、いるんだってこと。

どうか、わかってね。


つづく