『国連は平和を作れますか?』 05/08/28 明石康さん

8/28放送
明石康さん
テーマ:「国連は平和を作れますか?」
私みたいなせっかちな人間は、ネゴシエーターに向かない、なんてことをあらためて思った。物事の進展がなかなか見えて来ないところで、未来を信じて粘り強く頑張るのは、私には苦痛が大き過ぎて、きっと途中で投げ出したくなるだろう。お話をうかがっていてそれを何度も思った。けれど、自分の働きで、紛争がある国の人々が平和に近付いていけるとなれば、それは、自分の力以上の力を出す原動力になるかも知れない。やっぱり、人間、力を持ったら、それをできる限り大きな目的で使う方が何かと良さそうだ。
ところで、カンボジアで、ラジオを使って人々に伝えていった、というお話を聞いて、電波やネットワークのメディアがこれからの世界でもっと力を持っていくだろう、と以前感じていたことが、はっきりと現実になりつつあるのを確認した。言葉は、実際はこれからもますます力を強めていくように思う。言葉が本来の力を発揮する世界になれば、軍事力が膨れ上がって揺らいでしまった世界のバランスは、それでやっと平衡を取り戻すのだと信じるものである。戦争がこの世からなくなることを望む、ということは、たぶん、この国がかつて選択した国の姿とは,逆のベクトルにある。少し複雑だ。
そう言えば、ラジオと言えば、たぶん、この番組を聞いている人で一番多いのは、岡田くんのファンだと思う。つまり、これから社会に出るか、社会には出てまだ間もない独身の女性たちではないかと。ファンはタレントに似る、という通説が事実ならば、真面目にものを考える人が多いかも知れない。最初は岡田くんに単純に興味をひかれるが、やがてその真摯な人柄に触れて、物事の見方がどんどん変化していき、いつのまにか前向きに物を考えるのが習慣になっているのである。……それは私の話だけど。だから、この番組の試みは、よく考えると、未来に希望の種を蒔く事に繋がるかも知れない。ゲストに来られる方々が、とても熱っぽく良いお話をたくさん聞かせてくださるので、ひとかどの人というのは、考えていることを人に伝えることを厭わない、そういう精神力の持ち主ばかりなんだ、と感じ入ったものだ。しかし、岡田くん自身に、人の内面を引き出す、そんな聞き手としての力がなければ、番組のカラーはもっと違ったものになっただろう。「ひとかどの人」に対する、敬愛の気持ちを損なわせず、なおかつ生きている人間に対する理屈抜きの愛情をリスナーに感じさせることに成功している、という意味で、この番組の意義は大きい。
くどくど話したけれど、この国で国連をはじめ、世界の情勢について知らない人が多い理由のひとつに、明石さんのような、それを「楽しんで」聞けるように伝えられる話者が少ないからだと、例によって人のせいにしてみる。こんなに面白く国連のお話が聞けたのははじめてだ。そんなことを考えると、カンボジアの娯楽番組に民主主義の話を組み込んだという知恵は、すばらしいものだと思った。私などは、我がアイドルの声を聞いただけでアルファ波が出てしまうから、この番組でかなり強烈な「刷り込み」をされているような気がする(笑)。