修作 その2

講習会でのお題、「原作物をドラマ化」、ということで、書いたもの。
星新一原作のドラマというのは、存在するのだろうか。
私の記憶の限りでは、見たことがない気がするのだけど。
世にも奇妙な物語』にしたら、いい感じのドラマになりそうなのがたくさんあるのに。
そんな思いをこめて書いてみた。

短いので、そのままアップする。

企画書
タイトル『ある夜の物語』
2005年10月1日

作者と原作
SFショート・ショートの大御所である星新一の『未来イソップ』に収録されている短編。クリスマス・イブの晩、サンタクロースが、「ひとつだけ何でも願いをかなえる」と、ひとりの青年を訪れる。その特典は、「もっと淋しい人に」という理由から、青年、病弱の少女、強欲な金貸し、過激派とリレーされる。結局、サンタは誰の願い事もかなえられなかったが、幸せな気持ちになった者がサンタクロースを含めて5人いた、という心温まる物語。

どう映像化するか
1時間の、クリスマス時期を狙ったスペシャルドラマ。
原作は大変短くシンプルなものですが、それぞれの人物を今日的な社会問題と絡めて、描くことができます。青年を、ニートや引きこもり問題、病弱の少女を、いじめ、あるいは臓器移植の問題、金貸しを闇金融やリストラで無気力になった大人たちの問題、過激派は、テロ問題など。
それぞれの人たちが、相手に知られずに、相手の存在を知っているいきさつをしっかりと描き、またそれぞれの暮らしの手触りや、サンタに出会って「自分を見守ってくれている人がいる」と知った後のそれぞれの心の動きをしっかり描くことで、この原作のテーマをより今日的なものにできると思います。
サンタクロースが、ややもすると安っぽいものになってしまう恐れがあるので、CGなどの特殊技術を盛り込むか、あるいは原作にはない設定が必要かと思います。例えば、サンタクロースが、グリーティングカードからあらわれるホログラムであるとか。サンタクロースが存在していたことが、リアルなのか、実はそれぞれの人たちがばらばらに見ていた夢に過ぎないのか、そのラインが曖昧な方が、面白いと思います。