『石油の未来はどうなりますか?』06/04/02 石井彰さん

未来パニック物、例えば『ノストラダムス大予言』などに対する男女の受け止め方には、はっきりと差があるそうだ。
女性の方が、この手のことに対して「面白さ」を感じる度合いが少なく、不安に囚われやすいという。
それは子供を産んで育てる性の感受性のためかも知れない。
この回のエネルギー問題にしてもそうだ。
ずいぶん前から、環境問題と連動して、暗黒の未来を形成するひとつの大きな柱となっている。
詳しくお話を聞くと、確かに思った以上に深刻な問題だ。
思えば、私が子供を産んだ十八年前、「こんなひどい時代に子供を産むなんて、子供がかわいそう」と面と向かって言う人が何人もいた。
子供を産む女というのは、「子供が欲しい」という己のエゴのために、悪をまきちらしている罪人である、という論調が割と普通にまかりとおっているのを体感した。
いまさら少子化を問題にする人がいるのを逆に腹立たしく感じるほど。
おりしも、日本はバブル期という、かつて経験したことのない豊かさの中にあった。
私の子供の頃の、活気はあっても貧しかった日本や、戦争世代の両親の、子供がばたばたと死ぬのが当たり前だった頃の日本の話を思い出して、恵まれた現代を「こんなひどい時代」と呼ぶ気持ちを奇妙に感じたものだ。
だけど、それは現代文明というものが抱えている、どん詰まりの構造と関係があるのかも知れない。
石油がこの現代文明の豊かさを支えていて、それが有限だから。
先生のお話では、石油の代替エネルギーにはそれぞれ問題があって、うまくいくかどうかは、今後の研究にかかっているようだ。

ところで、古代文明の豊かさを支えていたのは、たくさんの収穫を産む土地と、労働力たる人間だった。
だから、古代の戦争は、土地と人間=奴隷の取り合いだった。
現代文明の豊かさを支えるのはエネルギーと情報。
だから、現代の戦争はその取り合いとなる。
現代はどこまでもそれをとめられないように見える。
しかし、現代文明の最先端を表した映像……例えば、銀行の金庫のメカメカしい映像……などを見ると、居心地悪さを感じて、自然回帰めいたことを言いたくなる。
現代文明の暴走に対して、批判的に気持ちになる。
もちろん、私ばかりではなく、自然保護の運動の土台も、この「気持ち悪さ」なんだと思う。
案外これなんかは、生物としての人間のバランス機構が働いているのかも知れない。
古代の戦争においてさえ、勝者に「徳」を強く求めた、人間のそれだ。
ここはひとつ、人間という種を信じる方向で。
お話を聞き、岡田くんの最後の締めの言葉を聞いて、そんなことを思った。